私の腕には、大きなひっかき傷のような傷跡があります。
大学で行った夏の合宿で、
シュノーケリングしたとき波にさらわれ、
岩に刺さった跡です。
岩に刺さったおかげで、
流されずにすみましたが、
腕からは血が流れ、
とても痛かったのを覚えています
担当の先生に「たいしたことない」と言われ、
病院に行かなかったために、
しっかり跡が残ってしまいました。
(注:皆さんは、大きな怪我をしたら、
すぐに病院へ行きましょう!)
でも、私はこの傷にちょっとした思いいれがあります。
この合宿明けに、
すぐ、ミュージカルのレッスンがありました。
私が増田先生のもとで学び出して、3年目のことです。
増田先生の主宰する「ミュージカルひろば 星のこども」は、
どんな子でもいきいき表現出来る場をつくっているので、
一般公募で集めた出演する子の中には、
知的障がいを持った子や、発達障がいの子もいます。
私は、先生のミュージカルで、
そういう子達とも体ぐるみに付き合う中で、
その優しさに感動をもらってきました。
この傷を、誰より早く見つけたのは、
重度のダウン症のたっくん(仮名)でした。
じーっと私の傷を見て、
それから自分の手の平をいっぱい舐め始めました。
そして、その唾がいっぱいついた手で、
私の傷を撫でようとしたのです。
私はビックリ!
な、なにごと?!
もしや…
分かりますか?
彼は私の痛々しい傷を見て、
治そうとしてくれたのです!
自分の擦り傷や切り傷に唾をつけるように、
私の傷にも、唾をつけて治そうとしてくれたのです。
私は嬉しくて涙が出ました。
人にはそれぞれの思いがあり、
その示し方は違う。
大切なのは、それを感じられるかなのでしょう。
半袖を着て、自分の傷を見るたび、
そんなたっくんの優しさを思い出します。
この絵本、夏になると読みたくなる!
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