私はボディートーク協会会長の増田明先生が主宰する、
「ミュージカルひろば 星のこども」に
19歳からスタッフとして所属しています。
最初は、増田先生のつくるミュージカルでは、
どんなこどもも輝いているから、
その演出法を学びたくて、勉強させていただきに行きました。
学び始めてすぐに、その表現の根底にボディートークがあるから、
こどもが安心して舞台に立てているということを
目の当たりにする出来事がありました。
「ミュージカルひろば」では、夏に合宿があります。
6月の説明会&体験レッスンから、ゆるやかな練習を積み重ね、
8月の二泊三日の合宿で、
一気に自分を開放し、本来の自分を発揮し、
役を決め、みんなと仲良くなる空間です。
私はこどものとき、ただただ、そのワクワク感を楽しんでいたのですが、
スタッフになって、初めて見えたことがありました。
それは、合宿中にはさまざまなことが起きている!ということです。
鼻血を出す子、お腹がいたい子、お母さんに会いたくなる子、
友達とのケンカ、環境が変わって眠れない子、
レッスンでがんばり過ぎちゃって、体調を崩す子…。
その中にこそ、こどもが今、抱えている問題があり、
解決の糸口が見えるのです。
私がスタッフとして、初めて参加した合宿で、
夜中にお腹が痛くて眠れない女の子を、
増田先生のもとに連れていきました。
先生はレッスンで疲れているのに、
にこやかにその子を迎えいれ、事情を聞きました。
そして、「ちょっと寝転がってごらん」と、その子のお腹に手をあてました。
「ああ、悔しさをためこんでるなぁ」と言う先生。
女の子には目に涙が。
実は部屋でみんなと学校の話をしていたら、
学校で受けているイジメを思い出して、
辛くなっていたのです。
先生は話を聞きながら、軽くお腹を揺すりました。
「もう大丈夫だよ」
女の子も「痛くなくなった!」と笑顔に。
私は先生は神かと思ったほどです。
それを先生に言うと、
「心と体のつながりを理解して、
あたたかい手と声でほぐしていくと、
それが心の鍵をあける『キータッチ』になるんだよ。
そういう力を、リーダーにもつけてもらいたい」
え?
これは、誰もが理解すれば、できることなのか!
増田先生ほど的確に、一瞬でほぐせなくても、
少しでも目の前で辛い思いをしている子がいたら、
ほぐして楽になってほしい。
私の手でも、役にたてるなら、役に立ちたい。
私は2年前、こどもの表現教室「とぶくじら広場」を、
学校の人間関係に悩む一人の女の子と、
増田先生から名古屋でボディートークを習っている
お母さんの二人のこどものために、開催することにしました。
その方々のつながりから、参加してくれたこどもたちと、
放課後に楽しく自分を発揮できる場は、こうして生まれたのです。
その時、悩んでいた子は、
今はハツラツと夢に向かってがんばっていて、
「とぶくじら広場」でも、リーダー的にみんなをひっぱってくれています。
今、辛い思いをしたり、
自分を出せずに窮屈にしている。
あるいは、自分を出せずにいる子や、無気力になっている子に、
自分を出して「生きるってすばらしい!」と思ってもらいたいと、
心から願っています。