製本アーティストの飛ぶ本こと、山崎曜です。

 

ずーっと雨です。涼しさに、季節感が狂いますね。今日は、セミも鳴かなかったです。

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作っていた本、仕上がりました。


ご依頼いただいた方からオーケーが出たら、後々、お見せできるかもしれませんが、

構造に関係するとこ、ちら見せします。

 

 

 

そう、「構造」などと大袈裟に言いましたが、元の本は、全く壊さずそのままなので、内部のことではないです。溝を使って、新しい表紙を縫い付けている、というだけのことです。(内側の完成度が、まだ要工夫ですので、写真無いです。。)

 

 

このかたちで、オーダーに応えるということは初めてです。

 

 

素材使いとしては、和紙と豚革の装飾の組み合わせ↓。

 

 

素材使いや糸留めも、この↑作品の時にやって以来、全然使ってませんでした。なぜなら、これは屏風状に開くものなので、本の表紙に使うという発想が無かったのです。

 

 

一方、本の「構造」の発想は、私の製本教室の生徒さんからもらいました。

 

もう亡くなってしまわれたのですが、20年近く、私の製本教室に来ていただいていた、遠藤博さんという版画家の方です。

 

象牙の嵌め込み細工を施した革のハードカバーを、ハードカバーの本の外につける、という二重のハードカバー。当時、その発想にびっくりしました。そのことは、下の、2016年の教室展の図録にも書いていました。
 

 
今回のは、これを糸の縫い付けでやる、というところが新しい解決方法でした。


思えば、こういういろんな発想を、教室内で、やりとりして、私も生徒さんも新しいものを作ってました。

 

注文のものを仕上げて、つらつら考えるに、そういえば、上の二つの組み合わせだったのだな、と改めて気づいたわけです。

さらに遡れば、革の装飾方法(モザイク、と呼びます)は、ヨーロッパのやり方をアレンジして、浮いている(貼っていない)和紙に貼るというものです。
 

 

そうやって、いろんな出会いから、ここにしかない、その時にしかできない、新鮮なものが生まれてたし、生まれてます。

 

オンライン講座で作る場も、もっと広い意味で、いろんな出会いがある場になるといいなー、と思っています。