ずいぶん前に読んだ
『喪失の国、日本』(M.K.シャルマ 著、文藝春秋)。とても面白い本でした。

今、それを思い出したのは、しばしば作るカレーについて書こうと思ったからです。

この本の中に「なんでも混ぜて食べると美味しい」という「インド人的美味しい観」というのがあったのを思い出しました。

「日本人的美味しい観」は、どちらかというと、分けておいて食べる、でしょうか。松花堂弁当などのように。
かけるタイプのご飯の食べ方(〜丼、とかです)がダメ、という友人がいますが、それはその典型でしょう。
輝く白いご飯と、おかず、という美味しさ、ですね。

ワンプレートに盛られたカレーなどを全部良く混ぜてから食べる、というのがインド風だそうで、
彼は、日本食でもそうやると美味しいと感じるのですが、それは作ってくれた日本人からみると「失礼」な場合も多いので避ける、というようなことが書いてあったと記憶しています。

確かに、私も、それから比べれば、分けて食べる傾向です。

が、カレーにはなんでも入れてしまいます。

家で、まあまあ料理をする私は、残り物をなんとかする、係です。

元々は、味噌汁が残った時にカレー化する、というのから始まりました。多分20年くらい前から?

最初の頃は、家族から違和感を訴えられてましたが、しばらくしたら、だいたいは、普通に美味しい、と食べてくれるようになりました。

いりこや昆布の出汁が、カレーになるのはちょっと違和感ですが、カレーうどんを考えれば普通です。
鶏がらスープとか、他の肉の出汁と混ざるのも、ちょっと違和感ありましたけど、鍋物を考えたら、肉魚混合だし、全く普通です。

旨味、塩味、甘味、酸味、をいろんな素材で調整して、ショウガ、カレー粉、クミンシード、を入れればとりあえずOK。玉ねぎを入れればすごく、ぽくなるし、オリーブオイル(に、ニンニクみじん切りや鷹の爪を入れてチン)とか、最後にピーマンとか、色々その時の状況で加えます。

結果が、いまいちなときは、市販のカレールーを入れれば、まとまります。

「甘味、酸味、をいろんな素材で調整して」
っていうところが楽しいです。
残ってる果物入れたり、ニンジンをすりおろしたり、もちろん玉ねぎは甘くなりますね(丁寧にみじん切りして、よーく炒めるのが美味しいけど、面倒だから鍋の上から、下し金ですっちゃうことも多いです)。
酸味はヨーグルトやワイン、トマトなど。頃合いに古くなっていれば、無駄にしないで使えた感があって嬉しいですね。
足りない「味」を足していけば、必ずそれなりに食べれる味になる、っていうのが、安心して実験できるのです。

例外としては思い出すのは、

ケチャップは、甘味と酸味両方あるので良さそうなのだけど、意外に個性が強くて、
少し入れただけでも、ケチャップ味のカレーになってしまうことがあるので、要注意です。だから隠し味的に注意して入れます。トマト缶とかピュレとか、むしろ常識的にカレーに入れるのに、ケチャップはなぜこうなるのか、それもなかなか面白いです。
それから、ひじきカレー。合わなかったです。
その時は思いついて勇んでやってみたのですが、美味しくなかったです。
(今、ツナ缶と組み合わせたら、美味しくなるのでは?と思いましたが、やってみるかどうかはわかりません。)

なんでも混ぜちゃえば美味しくなる、は、インド人的美味しい観、かもです。


息子の弁当のおにぎらずにも、キーマカレー。

(これは、ちゃんとひき肉炒めて作ったところに、残り物を細かくして、合流)