外耳炎 | 戸部ウータン動物病院のブログ

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外耳炎とは様々な原因により耳の穴に急性または慢性の炎症が起こっている疾患のことです。

よく飼い主さんがお気づきになられる症状としては、耳を痒がる、耳を掻くことによる耳周囲の脱毛、頭を振る、耳からの悪臭が挙げられます。

 

 

原因鉛筆
 

外耳炎の原因は多くの因子が複雑に絡み合っています。
 
主因…これだけで外耳炎を発症させます。
     寄生虫、異物、腫瘤、アレルギー、脂漏症、内分泌疾患など
特に、アトピー性皮膚炎では 83%、食物アレルギーでは 55%の症例で外耳炎の既往歴があると言われています。
 

 


 

副因…主因やほかの要因が原因となり外耳炎を発症させます。

          細菌、マラセチア、不適切な洗浄など
不適切な洗浄で多いのが綿棒によるお耳掃除です。

綿棒で奥の耳垢を取ろうとすると耳垢を奥に押し込んでしまい、外耳炎を悪化させます。

綿棒は外側の耳垢だけを拭うように使用し、中の汚れはなるべく洗浄液を用いて洗浄しましょう。
 

 


増悪因子…外耳炎を悪化させる要因となります。
                 耳道の狭窄・耳垢腺の変化など
 

 


素因…外耳炎発生のリスクを高めます。
          垂れ耳、耳道が狭い(短頭種)、環境(夏)、腫瘤、ポリープなど
 

 


診断鉛筆
 

①耳鏡による耳の観察
  耳鏡で耳の奥を観察することで、寄生虫、異物、腫瘤が耳に存在していないか、炎症や耳垢の異常増殖の有無を確認します。
 

 

②耳垢の染色検査
 耳垢を綿棒でとり染色することで、細菌の有無や細菌の大まかな種類を同定することが出来ます。

よく染色検査をして発見されるのが黄色ブドウ球菌とマラセチアと呼ばれる真菌の増殖による外耳炎です。
 
 ここで気を付けてほしいポイントは、黄色ブドウ球菌とマラセチア菌は健康な動物にも常に存在する菌であるということです。

この菌が異常に増殖することにより外耳炎が引き起こされます。

この菌の異常な増殖がなぜ起こるのかというと、上記で述べたようにアレルギーや内分泌失調といった基礎疾患や、季節性、耳道の狭窄などといった要因が複雑に関与していることに起因しています。

 従って外耳炎の治療は菌をなくすことを目標とするのではなく菌の異常な増殖を引き起こす根本的な要因を見つけ、それを治療、コントロールしていくということが大切です。
 

 


治療法鉛筆
  まず、お耳を徹底的に洗浄して、炎症や黄色ブドウ球菌、マラセチア菌に対して効果のある薬の点耳で症状を改善させます。
 しかし、何度も外耳炎を繰り返してしまう場合、基礎疾患の管理も必要となってきます。

アレルギーやアトピーが疑われる場合にはアレルギー検査に進んだり、内分泌疾患が疑われる場合には血液検査なども必要です。

また短頭種では耳道が狭かったり、シーズーでは脂漏症になりやすかったりと、もともと犬種依存的に外耳炎になりやすい場合もあります。この場合、外耳炎を根治させるのは難しいためうまく外耳炎をコントロールして付き合ってくことが大切です。

 

耳のケアの仕方はこちらを参照

https://ameblo.jp/tobeu-tan/entry-12511161884.html

 

 


 

これからの暑い季節は特に外耳炎が発症しやすいです。

ぜひ気になることがございましたらお気軽にご相談ください。