電気メス・シーリング装置(高周波焼灼装置ESG-400) | 戸部ウータン動物病院のブログ

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電気メスをリニューアルし、電気メス・シーリング装置(高周波焼灼装置ESG-400)を導入しました
 

 
 
高周波焼灼装置というのはわかりやすく言うと高性能の電気メス・血管シーリング装置のことです
 
外科手術の際に出血を止めたり、組織を電気の力を使って切開したりする装置になります
 
切り出しが非常になめらかで、組織を可能な限り痛めず、出血を止める際にも炭化させないように自動で出力を調整してくれます
 
 
 
バイポーラクランプ
 
止血のために従来では手術用の縫合糸を使い出血元の血管を糸で縛って止血していましたが、こちらのバイポーラクランプの導入により糸を使わずに安全に血管を封止できるようになりました
 
高周波焼灼装置のメリット
血管の処理、止血を縫合糸を使わずにできるので手術時間の短縮=麻酔時間が短縮できる為動物達の麻酔による体への負担を軽減
・動物達の体内に極力糸を残さない手術ができ、縫合糸反応性肉芽腫のリスクを避けれる
・従来の電気メスとは違い、組織に応じてコンピューターが自動で出力調整してくれる為、最良の切れ味・強い止血力が持続し、生体への負担が少ない
 
この高周波焼灼装置の導入により術者を助けるだけでなく、手術時間の短縮、動物達に大きな安全と負担の軽減になり、術後の回復もはやくなります
 
縫合糸反応性肉芽腫
主にミニチュアダックスフンドに多いといわれますが、全犬種に起きる可能性があります。
止血・縫合の際に使った糸に体が過剰な異物反応をおこしてしまい、しこり(肉芽腫)ができたり、膿がでたりする反応です。
免疫が原因といわれており、治療には糸を摘出した後、ステロイドや免疫抑制剤を投薬する必要があります。
また糸の位置が悪く、肉芽腫が重要な組織を巻き込んで完全な摘出が不可能な場合もあり、その場合一生涯ステロイドや免疫抑制剤を投薬する必要があります。
 
※すべての手術を縫合糸を全く使わずにできるわけではありません。使う縫合糸も極力縫合糸反応性肉芽腫が起きずらい糸を厳選しております。