鼠径ヘルニア
鼠径ヘルニアは、先天性に起こる場合と事故などの外傷や腹圧の上昇によって起こる場合があります。
先天性の原因は明らかになっていませんが、遺伝が関与していると考えられています。
後天性に起こる場合でも、生まれつき鼠径部に異常があり、これが素因となっていると考えられています。
ヘルニアが小さければ経過観察を行う場合もあります。
一般的には妊娠や過度の肥満によってヘルニアが拡大する可能性があるため、予防的な外科手術が推奨されます。
去勢避妊手術のときに同時に行うことが多いです。
腸や子宮、膀胱といった腹腔内(お腹のなかの)臓器がヘルニア内にはまり込んでいる場合は、できるだけ早く外科手術が必要となります。
当院での症例
鼠径部にヘルニアがあり、今までは押したら戻っていたのが、戻らなくなったとのことで来院されました。
エコーでヘルニア内容物を確認したら子宮でした。
また子宮内に膿が貯まっており子宮蓄膿症を併発していました。
貧血がかなり進行していていた為、輸血後手術をしました。
膿の貯まった子宮が鼠径部にはまっており、なかなか取れませんでした。
鼠径部に切開を加え、卵巣子宮全摘出をしました。
鼠径部も縫合をしました。
子宮蓄膿症を併発していたため、危ないところでした。
鼠径ヘルニアがある場合、押して戻るうちはいいのですが、戻らなくなったらできるだけ早く動物病院に行きましょう。
また大きいヘルニアであれば予防的に塞いでおくことをお勧めします。