肛門周囲腺腫

肛門周囲腺腫

肛門の周りにある分泌腺に腫瘍ができることです。

肛門周囲腺腫は犬の腫瘍の中で比較的頻度の高い腫瘍です。

精巣から出るホルモンが原因でこの腫瘍が発生し、高齢の去勢していないオス犬に多く見られ、メス犬・早期去勢オスはあまり発生しません。

肛門周囲腺腫の良性悪性判断は切除して、検査する必要があります。

悪性の場合、近くのリンパ節に転移しやすい為注意が必要です。

去勢手術によって、肛門周囲腺腫にホルモンが供給されなくなるため、再発予防や腫瘍の縮小効果が期待できます。

肛門周囲腺腫は肛門の近くにある為、大きすぎると、肛門括約筋も大きく切除しなくてはならず便の垂れ流しになるなどの注意が必要です。

状況により化学療法や放射線療法・去勢手術により腫瘍が小さくなってから手術を行う事もあります。

肛門周囲腺腫では、良性でも悪性に変化することが多いと言われています。

若いときに去勢をすることが予防となります。

当院での症例

お尻にしこりができたとの主訴で来院されました。

この子は１歳ぐらいで去勢手術をした子でした。

早期去勢手術をした子での肛門のしこりは悪性のものが比較的多いです。

針細胞検査にて肛門周囲腺腫が疑われました。

悪性良性の判断、確定診断の為切除しました。

切除前に転移がないか、腸骨下リンパ節の評価の為レントゲン検査とエコー検査を実施しました。

リンパ節転移は疑われませんでした。

切除後

病理検査の結果、良性の肛門周囲腺腫との診断がつきました。

切除範囲も良好でした。

肛門周囲腺腫は再発もしやすい腫瘍ですので、今後経過には注意が必要です。

通常、肛門周囲腺腫を切除するときに去勢手術も合わせて行い、再発を予防します。