涙は結膜や角膜をうるおし、目頭にある穴（涙点）に吸収され、涙管を通って鼻の先の穴から出てきます。
鼻涙管閉塞とはこの涙管が塞がってしまっている状態をいいます。
鼻涙管が閉塞していると涙を排泄できず目から溢れ出てしまう流涙症となります。
特にマルチーズやプードルに多くみられる病気です。
【原因】
鼻涙管の閉塞は、先天的に涙管の入り口となる涙点が欠損していたり、炎症、異物、外傷などが原因で涙点が閉鎖したり、涙管が閉塞してしまうためにおこります。
ある種の犬種に多く発生するので、先天的なものは遺伝的な素因が要因としてあるといわれています。
【症状】
鼻涙管が閉塞しているためいつも涙があふれ出て、眼の内側の下のほうが涙やけを起こすという症状が見られます。
涙やけのために、眼の下に細菌感染を起こし、皮膚炎を起こすことがあります。
【診断・治療】
特殊な蛍光色素の染色液を点眼し、５分後に鼻から蛍光色素が出てくるか観察します。
鼻涙管の閉塞の原因となる基礎疾患がないか、眼瞼を観察し、ある場合はその病気についての治療を行います。
他の病気がなく、閉鎖している涙管を疎通させるためには、全身麻酔をかけ、細い管を通して涙管を洗浄する治療を行うことがあります。
眼瞼を温かいタオルでマッサージすることにより改善がみられる場合もあります。
涙やけが気になる場合は涙やけをとるローションもあります。
当院での症例
小さいときから涙やけがありました。
去勢手術の予定がありましたので、鼻涙管の疎通性をチェックしたところ鼻に抜けていませんでした。
去勢手術と一緒に鼻涙管洗浄を実施しました。
眼の付け根に上と下、左右合計４カ所涙点があります。
極細のチューブを入れ洗浄しました。
上側の涙点にはチューブがしっかり入りますが、下側の涙点にはチューブが１／３しか入りません。
鼻涙管の低形成があるようです。
このような子は鼻涙管の疎通性が悪いのは目の構造上の問題ですので、洗浄後も再発しやすいです。
術後調子は良いようで飼い主様も喜んでいらっしゃいましたが、今後再発しないことを祈っています。