ご無沙汰しております管理人です。

 

今日は未成年の殺人について。

 

1年に1回くらい、まだ高校生くらいの未成年が殺人で逮捕された、というニュースがありますね。

 

2015年に起こった川崎市中1男子生徒殺害事件は、まだ記憶に新しい、衝撃的な事件でした。

 

未成年の場合、殺人を犯しても死刑になることはありません。

 

それどころか、少年院という拘置所とは異なるところに隔離され、いつかは世に出てきます。

今はネット時代。「◯◯事件の殺人犯が出所」という書き込みや、さらに現在の顔写真までネットで公表されることも。

 

それはもちろん、「人殺し」こそ、人が最も犯してはならない罪であり、殺してしまった人間には償うことすらできないからです。その罪の重さは、他の犯罪とは一線を画すものなのだと思います。

 

ですが「犯罪」自体が、人が人と集団生活を行ううえで犯してはならない決め事であり、そこに上下はないのではないか、という気もします。たとえば強姦。加害者は長くても懲役10年ほどで出てきますが、被害者はやられたことを一生忘れません。

 

被害者が生きている、生きていないに関わらず、結局犯した犯罪を「償う」ことなどそもそも不可能ではないでしょうか。

 

ということで、今日紹介するのは「僕の名前は少年A」。

 

「僕の名前は少年a」の画像検索結果

 

13歳の主人公・貴志は、同級生の佐々木結衣と恋人未満ではありますが、両思い。中学生らしい甘酸っぱい恋模様を繰り広げるいわば普通の中学生。

 

ですが結衣はあるとき、クラス担任の山下にレイプされ闇に落ちます。何回目かのレイプ現場を貴志は目撃してしまい、結衣を助けるため山下をバッドをぶん殴る。そして襲いかかってきた山下をそのまま撲殺してしまうのです。

 

貴志は結衣をかばうため、殺した理由について「前から気に入らなかったから殺した」と話します。貴志はその後少年院に入り、貴志の家族も世間からの反発によって引越しを余儀なくされます。

 

貴志はもともと模範的な生徒で成績も優秀であったので、15歳で出所し、普通の高校に通うことになります。ですがその情報がネットに流され、さらに顔も公開されてしまいます。

 

結衣はその後は普通の生活を送っていましたが貴志への負い目から、事件の真相を話そうとしますが・・・

 

以下感想ですが、結衣をかばったのは長い目で見ると失敗であったのかな、ということ。レイプされたことをかばっても結局、その負い目に結衣は潰され、本当のことを話そうと動く。なら最初から告白しておけばよかったのではないかと思ってしまいます。

 

貴志は山下を殺したことを後悔していますし、自分は殺人犯だから幸せになっちゃいけないんだ、と思いながらも、普通の高校生として楽しく暮らしたいという面も描かれており、結衣をレイプから救った、ということが贖罪になっているように見えます。

 

また、貴志のせいで姉は大学に最後まで通うことができず、姉に「殺人犯が幸せになっちゃいけない」的なことを言われます。その通りな気もするのですが、じゃあ人を殺してしまって、でも少年院を出て「世間的」な償いは終わって、つぎはどうすりゃいいんだっていう話。

 

「自分は幸せになっちゃいけない人間だから」と一生陰気に暮らすのが正解でしょうか。せめて遺族に償いをとこまめに手紙を送り、一生懸命に稼いだお金を遺族にせかせかと送金して人生を過ごせばいいのでしょうか。

 

全く関係ないですが、自分は子供の頃、自分の人生は20歳になって終わりだと思っていました。というか、自分は一生20歳になれないし、まして社会人になって働くわけがないとどこかで考えていました。

 

その自分が今は社会に出て働いて、毎日を生きている。だって、人生は続くから。死ぬまで終わりなんてないから。

 

貴志は殺人を犯して少年aとなり、でも彼の人生はまだまだ続きます。

彼の物語を、これからも見守って生きたいと思います。

 

既刊1巻なので、ぜひ読んでみてください。でわ