久しぶりの青空、久しぶりの20℃超えの名残の夜に、モアリズムさんのライブへ。
去年、初めてライブを観た直後にドラムのチャーリー横山さんが脱退。
ドラムレスのスリーピースで、どんなライブになるのかなぁとわくわくしながらガソリンアレイへ。
会場は、地元をはじめ、帯広や北見からのお客さんも。立ち見も出て、にぎやかです。
ゆるっと登場、ゆるっとスタート。
メンバー紹介、去年も同じ口上を聞いたはずなのに、やっぱり笑ってしまう。
ギター、アントニオ佐々木。
佐々木小次郎の直系の子孫で、決闘の時間を守ったにもかかわらず武蔵に船の櫂で頭をかち割られ…。
ベース、エスパー清水。
子供のころユリ・ゲラーのTVを見ていてうっかりスプーンを曲げてしまい、それ以降父親からエスパーのガチ教育を受け、オモチャが見つからないと父親に訴えても「念じるんだよ」と返され…。
ボーカル、ナカムラ。
普通の公務員の家庭に生まれ、普通が一番と教えられ続け、いまも公務員を目指して…。
文字で書いても伝わらないですね。やっぱりナカムラさんの、あの淡々ととぼけた口調で聞かないと。
2曲目ぐらいにやった「オレとオマエとカネとギター」の歌詞がへんてこで面白かったです。
横浜のお母さんたちが騒然としたという「ユるい女」も好き。ユるい女になりたいなー。おおまかだいたいの愛で包んでみたい。
客席参加型の「皿洗いSTOMP」「歴史に名を残す」等々も楽しいです。
今回は新しいアルバム「トルバトール パンをかじる」のリリースツアーなので、新曲から「トルバトール パンをかじる」「星降るブランコ通り」なども。
ナカムラさんの実家は、先日の地震で大きな被害を受けた、熊本の益城町の隣町なのだそう。
あの父親なら大丈夫だろうと思いつつ電話したら、震度5の余震続く中「寝てた」と。
そしてお父さんから「野菜送った」と。
全国から支援物資が続々と熊本に送られる中、熊本から野菜が発送されるなんて、宅急便の人もさぞ驚いたろうと言っていました。
この辺りのくだりは、本当は熊本弁で再現されてるからもっと味わいがあるんですが、あの辺りの方言は複雑で、隣町ですらちょっと違うそうです。
そんな、ナカムラさんの育った町、熊本県の津久礼地方の方言を歌詞にした「カラスヘビ」。
何言ってるんだかさっぱりわからないです。「ここ、熊本の人なら爆笑です」と言われましても(笑)。
そういえば大分の日田弁でブルースを歌っている人もいるし、ブルースのメロディとリズムに、九州弁はのっかりやすいのかな。
去年にくらべて、今回は清水さんがたくさん喋ってたような気がします。
小6でエスパーの能力を失ってからは、ボディビルに目覚めたという清水さん。
ウッドベース背面弾き!(撮影OKでした)
ボティビルのポージングを決める場面もあり、客席からは「ナイスポーズ!」「デカい!」「切れてます!」と、ボディビル特有の掛け声が。
お客さん、ノリがいいなあ(笑)。
一方、そんな陽気なやりとりには我関せずの佐々木さん。
本編もだいぶ後半になってから、「あ、"金がない"入れるの忘れてた!」とナカムラさん。
「金がない」は佐々木さんボーカルの曲なんだけど、本人が、"お客さんは求めてないからセットリストに入れなくていい"と言い張るのだそう。
「えー!」とお客さん。私も「えー!」です。
渋々とセンターマイクの前に立つ佐々木さん。
が、次の瞬間、どこに隠してたのかと思うほどよく張った声で
「落ち着いて下さい」。
(´゚ω゚):;*.':;ププッ
「金がない」と、お客さんのタバコを拝借しての「プカプカ」の二曲。
そしてそそくさと自分の位置へ。
モアリズムは、ナカムラさんも佐々木さんも清水さんも、いい声してるなあと思います。
本編ラストは、私の大好きな「笑う花」。
ああ、いい曲だなあ…
とじんわりしつつ、拍手を送って、その拍手がなんとなく手拍子に変わりかけた瞬間に
「(アンコール)やります!」とナカムラさん。
気配を察知したようです(笑)。
アンコールでは
「初めて本当の事を歌います」と力強く宣言してからの
「イチゴのショートケーキの」(イチゴのショートケーキから全部イチゴを抜いたケーキを食べたいと本気で願う歌)など。
最後は「モアリズムのテーマ」で楽しくおしまい。
ドラムレスのライブってどんなだろう?と思っていましたが、
先日見に行った友部さんのライブもギターとベースのデュオだったし、さほど変な感じはしませんでした。
ただ、「ここにドラムが入ってたら楽しいだろうな」と感じる場面があったり、
ナカムラさんが「チャーリー!」と言いながらドラムの方を振り返る場面もあったり、
ちょっぴり寂しいな、と思ったのもまた正直なところでした。
今回のツアー前に、ナカムラさんが、いわゆる「リリースツアー」は今回限りにする、と発表しました。
その後、色々な人から「ライブやめちゃうんですか?」と聞かれたそうで、私も「リリースツアーがなくなったら、釧路にはもう来ないかも…」と思ってましたが、
年間、多くて160本を超えるライブをやるのは若いバンドのやる事だと気づいたし、生活が立ち行かなくなるから、リリースのたびに長期ツアーに出るのをやめるだけなのだそうです。
釧路にも、機会があればまた来ますとの事。お待ちしております。
そうそう、この日はガソリンアレイのマスターのお誕生日だったそうで、みんなでハッピーバースデーを歌いました!
釧路に来るミュージシャンが、安心してライブをできる、数少ないお店。
これからも素敵な夜をつないでいって欲しいなあと願っております。