念願叶って星組博多座公演『Me and My Girl』を観劇できました。これまで月組と花組で演じられてきたミュージカルの定番ですが,星組の精鋭たちと水美舞斗さんによって新たな息吹を得た作品となって再現されました。舞台美術も衣装も台詞も,これまでの『Me and My Girl』の伝統を踏襲した仕上がりになっていますが,ビル役の暁千星さん,水美舞斗さん,サリー役の舞空瞳さんの個性を最大限に活かしたminor modificationsも試みられており,初めて観た人にとっても現在の星組の良さを十分に堪能できたことでしょう。このミュージカルで一番好きな役柄は,ヘアフォード伯爵家の伝統と格式を受け継ぎ,貴族としての誇りを守り抜こうとするディーン・マリア公爵夫人です。前回の花組では桜咲彩花さんの熱演が光りましたが,今回の星組では小桜ほのかさんが見事に演じ切ってくれました。第2幕の『Song of Hareford』(by Duchess Maria, Bill and Ensemble)での力強いマリア夫人とアンサンブルの合唱は圧巻でした。
公演プログラムの中で,脚色・演出の三木章雄先生が述べているように,このミュージカルは「俺と,俺の女のコ」の物語です。サリーとビル,マリア夫人とジョン卿も年齢や立場は違っても,生まれた世界で偶然に出会った異性に恋をし一途の愛を誓うことで「愛が世界を回らせる」。そんな純粋で素朴な男女の絆の物語が『Me and My Girl』の世界観を形づくっていて,本当にハッピーな観劇の余韻に浸れる作品でした。
来週も体調を整えて博多に遠征しようと思います。この作品で描かれているもう一つのテーマ。すなわちnoblesse oblige,高貴なる人々に託された義務と責任についても再考してみたいと思います。