ゴールデンウィークも後半ですが,5月3日は出かける予定もありません。起床してからテレビをつけたらウィーク・デイなので朝ドラ『らんまん』も通常通り放送されていました。ドラマは第5週に入り,今週のタイトルの植物は「キツネノカミソリ」でした。
東京の博覧会から帰ってからというもの,植物の研究のことはきっぱりとあきらめて,造り酒屋の稼業に専心しようと心に決めた万太郎(神木隆之介)でしたが,祖母のタキ(松坂慶子)からは従姉妹である姉・綾(佐久間由衣)との結婚を勧められます。あまりのことに愕然としする万太郎と綾。実の姉として慕っていた綾との結婚など道義的にも許されるものではないと万太郎自身は思い,杜氏の幸吉に淡い恋心を抱いていた綾も家を飛び出して幸吉のもとを訪ねます。しかし,幸吉はすでに既婚者であることが判明。失意の綾は家出同然で高知に向かいます。綾の行方を心配した万太郎と従僕の竹雄(志尊淳)も高知に向かいますが,折から吹き荒れる自由民権運動の活動家に共鳴して,誘われるままに演説会場で個人の自由と平等を唱える演説をします。しかし官憲の取り締まりにあって逮捕され,留置所で拘束されてしまいます。佐川から駆けつけた祖母・タキと竹雄の奔走により自由民権運動の首謀者ではないということで釈放され,姉の綾と共に佐川へ引き返す山道で見つけたのが紅紫色の花を咲かせた彼岸花に似た植物の群生でした。初めて目にする植物の名前を知らなかった万太郎でしたが,思いがけず祖母のタキはそれが「キツネノカミソリ」であると万太郎に告げます。可憐なキツネノカミソリに出会い,あらためて植物学への情熱が呼び覚まされた万太郎は,実家に戻ってから祖母にその意思を明らかにし家業を継ぐことは姉の綾に託して「自分のことは勘当してほしい」とタキに申し出る場面で5月3日の放送は終わりました。
キツネノカミソリ(Lycoris sanguinea)は,東アジアに分布するはヒガンバナ科の多年生草本球根植物だそうです。「狐の剃刀」というインパクトのある名前は,早春の時期だけに出現する細長い葉の形が文字通りカミソリのように見えることに由来するそうです。キツネノカミソリのことをネットで調べていたら,Atsushi Yamamotoさんの「季節の花 300」という記事が目にとまりました。「狐の剃刀」以外にも「狐の・・・」という接頭辞を冠した植物がいくつもあるようで,「狐の手袋」「狐の牡丹」「狐の茶袋「狐の枕」「狐の蝋燭」「狐百合」「狐茄子」「狐大角豆」などが例示されていました。「狐の・・」というのは,「~に似て非なるもの」のような意味合いが込められているように思います。昆虫でも「・・・モドキ」「・・・ダマシ」のような接尾辞のついた虫たちがたくさんいるのと同様かな,と理解しました。
朝ドラもそろそろ来週から東京編に移行するのかもしれません。綾を演じている佐久間由衣さんの演技がとても繊細で可憐なので,今後の展開でどのように酒屋「峰屋」が発展していくのかも楽しみです。
Lycoris sanguinea(Wikepediaより引用)
