月組の東京宝塚公演の千穐楽をRakuten TVの配信で視聴しました。
今回の公演では終演後に月組生え抜きの7名,すなわち光月るうさん,千海華蘭さん,朝霧 真さん,清華 蘭さん,花時舞香さん,結愛かれんさん,蘭世惠翔さんの退団セレモニーがたっぷり1時間ありました。それぞれが宝塚での舞台人としての最後を飾るにふさわしい心のこもった挨拶で締めくくってくれました。
特に組長の光月るうさんについては,21年のキャリアの中で男役としてあらゆるジャンルの役柄に取り組めた満足感と組長としての使命をまっとうできた安心感を,言葉や表情の端々から感じ取ることができました。また娘役ダンサーのリーダー格に成長した結愛かれんさんも,途中涙で声を詰まらせながらも,最後は男役さんたちから「俺たちのユイ」として慕われたこぼれるような笑顔で別れを告げてくれました。個人的には桜奈あい,夏風季々,結愛かれんのダンストリオが月組から去ってしまったことが惜しまれます。今回の7名それぞれに思い出がありますが,退団者全員に幸あれと願います。
今回の公演のお芝居は,灰原薬さん原作の長編コミック『応天の門』(新潮社バンチコミックス刊)を元に,『応天の門』-若き日の菅原道真の事-という副題で田渕大輔さんが脚本と演出を務めました。田渕さんは比較的寡作であり宙組作品を多く手がけているという印象でしたが,本作品では原作のエピソードを最大限活かしながら,若き日の道真(月城かなとさん)が様々な階層の人たちと交わることで人間として成長していく過程がわかりやすく描かれていました。
後日譚としては,権謀術数の渦巻く貴族社会の中で菅原道真は右大臣の地位までのぼりつめますが,最後は藤原時平(藤原基経の長男)の讒言により失脚し,太宰府に左遷されて失意のうちにその生涯を閉じます。しかし菅原道真の優れた知性と清廉潔白な生き方は,千年後の現代まで語り継がれ「学問の神様」として崇められる対象として信仰の中で生き続けているという点では,歴史上稀有な存在といわねばなりません。
