金融機関が勧めるアセット・マネジメントに耳を傾ける | to-be-physically-activeのブログ

to-be-physically-activeのブログ

ブログの説明を入力します。

 個人取引のある金融機関から面会の申し入れがあり,担当者と面談してきました。コロナ禍でしばらくは銀行の顧客担当者と直接会う機会は乏しかったので,いったい何の用事だろうと心配になりました。

 3月に欧州の金融機関大手のクレディ・スイス銀行が経営不振と信用不安が重なり,スイス政府主導でUBSに買収されるというニュースが大きく報じられました。その後,問題視されたのは銀行の買収に伴ってクレディ・スイスの発行していた永久劣後債(AT1債)が無価値になったという事実が明らかになり,銀行株や金融機関のAT1債を保有する投資家の不安が増大しました。このニュースは,個人的には驚きましたが,欧州の金融市場が一時的に不安定になっただけで世界的な金融不安を引き起こすほどのインパクトはなかったようです。

 銀行の担当者の用事はそのような投資や資産運用に関わることではなくて,金融機関が現在力を入れているウェルス・マネージメントの紹介や資産継承の準備についての具体的なサービス内容の件でした。

 今や日本人の人口の28%が65歳以上のシニア世代で占められるようになりました。日本人が抱えている個人資産の総計は国民経済計算(SNA)に基づき試算すると3072.7兆円ですが,このうち60代以上の人の個人金融資産の保有割合は63.5%,住宅・宅地の保有割合も58.4%ということで,実質的に65歳以上のシニア世代が2000兆円を超える個人資産を抱えていることが明らかにされています。銀行としては高齢者が貯め込んでいる膨大な資産をターゲットに,アセット・マネージメントを行い資産の一部を積極的な投資や運用に導きたいというのが本音なのでしょう。

 我々シニア世代は「貯金こそ命,無駄遣いは敵だ」と親に言われて堅実な資産の蓄積を保つように育ってきました。経済界にとっては,シニア世代が貯めたお金の1%でも毎年消費や投資に使ってくれれば日本経済を活性化できるのに,とほぞを噛んでいるようです。確かにシニアの資産の2000兆円の1%といえば20兆円であり,GDPに大きく貢献することができることでしょう。

 しかし高齢者がお金を浪費しないのは,人生100年時代といわれる昨今,超高齢者になった場合の不安がどうしても解消できないからでしょう。病気になったらどうする,介護を受ける立場になったときは誰が面倒を看てくれる・・・などなど。銀行としては資産運用だけでなく,高齢者のウェルス・マネージメント全般にサービスを展開しています,というのが当日の銀行側のお話の結論でした。

 それなりに勉強になる話だったので,とりあえず資産継承のための財産目録などの作成などをお願いしようかなと思っています。金融機関も従来通りのやり方では利潤を得るのは大変そうです。

 

参考文献(表とも):日本経済新聞2023年4月7日記事。野尻哲史・著「シニアが日本の『資産』になる。人生100年こわくない,資産活用で笑おう」(日経ヴェリタス2023年4月9日号掲載)