東京・日本青年館ホールで4月4日から始まる星組・礼真琴さん主演のフレンチミュージカル『赤と黒』は人気が高くチケット難だったようで,ようやく友人から東京公演の座席を一つ譲ってもらえそうである。ウィークデイなので有給休暇を取って東京に行く準備を始めた。すでに梅田芸術劇場シアター・ドラマシティの配信を1回視ているので,物語の流れはおおよそ把握したがライブで改めて音楽を含めた全体像を体感できれば幸いである。
今回はアルベール・コーエンの演出によるL'Opéra Rockとして作品が潤色され,宗教色を薄めたテーストに仕上げられているが,やはりロック・オペラなのでダイナミックな音楽の流れが魅力的である。礼真琴さんの歌う『光をこの手に』,苦悩に満ちた生い立ちを語る『生きてきた道』,一幕終わりの『赤い花』などにじっくり耳を傾けたい。
主要な出演者は,下記の14名:
ジュリアン・ソレル=礼真琴,ルイーズ・ド・レナール=有沙瞳,ムッシュー・ド・レナール=紫門ゆりや,マチルド・ド・ラ・モール=詩ちづる,ラ・モール侯爵=英真なおき,ムッシュー・ヴァルノ=ひろ香祐,ヴァルノ夫人=小桜ほのか,フェルバック夫人=白妙なつ,エリザ=瑠璃花夏,オンブル男(執事)=朱紫令真,オンブル男(裁判官)=夕陽真輝,ジェロニモ=暁千星,ルージュ=希沙薫,ノワール=碧海さりお
であるが,鳳花るりな,星影なな,彩夏こいき,凰陽さや華,和波煌,乙妃優寿,絢咲羽蘭,馳琉輝らネクスト・ジェネレーションがアンサンブルメンバーとして加わっており,下級生達を含めたコーラスやダンスにも注目して俯瞰で舞台を楽しみたいと思う。
小説「赤と黒」では,材木商のフーケ,デルヴィール夫人,ラ・モール侯爵が好きなキャラクターであるが,今回の舞台では英真なおきさん演じるラ・モール侯爵がジュリアンに騎士としての叙任を行う場面が配信では印象的だった。ジュリアンの友人・フーケやルイーズの女友達・デルヴィール夫人は今回の舞台の設定からは外れたようである。その分は狂言回しを演じるジェロニモの役割が重要になっており暁千星さんの演技に期待が集まる。
個人的にはこの舞台で宝塚を去ることになっている朱紫令真さんの姿を,様々な感謝の意を込めて記憶に焼き付けたいと思う。端正な男役として,真摯に役に向き合った舞台人としての活躍を讃えたい。