昆虫と共存できる環境づくりが必要 | to-be-physically-activeのブログ

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 11月になっても比較的暖かい陽気が続いている。職場の休憩所の隣にある貯水池のフェンスにクモが長く伸びた二筋の糸をかけていた。スマホで撮影したので繊細なクモの糸は見えづらいが,太陽光の反射でかろうじてその存在がわかる。米粒ぐらいの大きさのクモであったが,捕虫用の網の部分は確認できなかった。冬が近いこの時期に網を張っても餌となる昆虫を捕らえることはむつかしかろう。

 都市部でも郊外でも自然環境で見かける節足動物の主役はクモとアシナガバチばかりになってしまった。最近はアリの姿もさっぱり見かけなくなった。虫嫌いの人は,クモもハチもアリも駆虫剤で退治してしまうので,数年後にはこれらの節足動物にも遭遇しなくなってしまう懸念がある。職場の同僚の小学生の息子さんも虫嫌いで,セミすら手でつかめないそうである。

 生態系の多様性に多大な貢献をしている昆虫やクモであるが,下記の新聞記事に現代人が昆虫嫌いになる理由について調査した結果が簡単にまとめられていたの全文引用した。要するに子どもの頃から屋外で活動する機会が減り,自然環境にいる生物について興味や関心を抱くチャンスが減ったこと。加えて昆虫やクモはひとまとめに有害動物と看做されて駆除してしまう傾向などが虫たちの居場所をなくしているようだ。

 ムシがいなくなると最終的に一番困るのは人間である。教育現場などでバイオトープなどを作って,虫好きの子どもを育てることから始めたほうが手っ取り早いかもしれない。

 

 

引用文献:読売新聞2022年11月6日,くらし・家庭面(日曜の朝),堀家路代・著「久々に見たミノムシ」

 通勤中,街路樹にミノムシを見つけてびっくりすると同時に,久々の“再会”にちょっとうれしくなった。子どもの頃はあちこちにいて,中の虫を引っ張り出して遊んだものだ。ここ30年ほどは見かけなかったが,外来種のヤドリバエに寄生され,激減したという。

 虫が急速に減っているらしい。2019年の環境省多様性センターの報告書では,オオムラサキ,アカタテハなど30種類のチョウが10年間で30%以上減少していた。世界でもそうしたニュースが飛び交う。例えばドイツでは,飛ぶ昆虫の総量が27年間で75%以上減ったとか。

 何が問題なのだろうか。

「地球上の生物種の半分以上を昆虫が占めており,圧倒的な数と多様さで生態系を支える虫が失われることの影響は計り知れません」と,千葉大学准教授の深野祐也さん(生態学)は話す。確かに,昆虫は他の生物の食料となり,落ち葉や動物の死骸などの有機物を分解し,花粉を運んで植物の受粉を助けている。

 ただ,現代人の多くは虫が嫌いで,危機感は今ひとつ。深野さんらがアンケート調査と実験から読み解いた「虫嫌い」の心理メカニズムはこうだ。都市化によって屋外よりも室内で虫を見る機会が増え,室内にいるのはゴキブリやハエなど感染症のリスクが高い虫ばかりなので,病原体を避けようとの意識から嫌悪感が強まる。また,虫の種類を判別する能力が低い人ほど,ゴキブリもテントウムシもまとめて嫌ってしまう。深野さんは「屋外で虫を見る機会を増やし,虫の知識を得ることが,長い目で見れば生態系を守ることにつながる」と提案する。

 昆虫が減ってきた主な原因はおそらく人間活動。「気持ち悪い」と目を背けてばかりでは,虫が良すぎるかもしれない。