花組全国ツアー公演@名古屋市 | to-be-physically-activeのブログ

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 花組全国ツアー公演ミュージカル・ロマンス『フィレンツェに燃える』(作/柴田侑宏,演出/大野拓史),ショー グルーヴ 『Fashionable Empire』(作・演出/稲葉太地)を名古屋市の日本特殊陶業市民会館フォレストホールで観てきました。

 地方公演や別箱公演では柴田侑宏先生の作品が選ばれることが多いのですが,今回の『フィレンツェに燃える』は47年も前の作品の蔵出しであり,台本と音源のみから演出家の大野先生が再演作として蘇らせたとプログラムに書かれていました。

 イタリア統一運動(リソルジメント)の盛んだった19世紀中盤の時代を背景に,トスカーナ大公国フィレンツェの貴族の恋愛模様を描いたドラマであり,バルタザール侯爵家の長男アントニオ(柚香 光さん)と次男レオナルド(水美舞斗さん)が,ヴェローナのクレメンティーナ公爵の若き未亡人パメラ(星風まどかさん)への恋を競い合うというお話しでした。ロマンチストで守旧派の兄と進歩派で革新を好む弟が,一人の女性をめぐって争うという物語の設定は日本人の描く恋愛ドラマの定番かなと思います。『月雲の皇子』のときの木梨軽皇子と穴穂皇子の兄弟が血のつながっていない妹の衣通姫を奪い合うという構図を思い出してしまいました。

 今回の『フィレンツェに燃える』のパメラは,酒場の歌姫という下賤の出身であり,公爵家の四人目の後妻に収まり,世間からは財産目当て?夫殺しを企んだ?と様々な色眼鏡で見られてきた女性でした。したがって星風まどかさんも終始憂いをたたえた表情での演技で大変そうでした。主題歌は「愛のエレジー」という悲しい歌で,確かに1970年代は高度成長期でありながら哀歌や挽歌のブームでした。柴田侑宏先生も時代の空気に飲まれたのかなと思います。

 お芝居のほうは少し暗いお話でしたが,ショーの『Fashionable Empire』は地方公演ならでは限られた出演者での構成になっており,明るく華やかでたっぷりと多彩なダンスパフォーマンスを楽しむことができました。若手では湖春ひめ花,湖華詩,咲乃深音,侑輝大弥の4名の躍動感あふれる演技や歌唱を目の前でじっくり観ることができて頼もしく感じました。個人的には福岡出身の春妃うららさんのファンなので,フロントラインで踊る彼女に声なき声援を送ることができて満足です。

 名古屋は秋晴れで快適でした。カーテンコールの挨拶で柚香さんが「ジブリパークのことが気になって・・・」と話題にしていましたが,11月1日から開園したようです。スタジオジブリの作品は宝塚ではあまり取り上げられませんが,柚香光さん主演で舞台化するとしたら『紅の豚』を観てみたいなと思います。『フィレンツェに燃える』と同様にイタリアを舞台にした宮崎駿作品です。