浅田次郎・著『蒼穹の昴』全4巻(講談社文庫)を読了しました。
出版データによればこの小説の初出は1996年4月に刊行された講談社の単行本上・下2巻を原作とし,文庫化された初版は2004年10月15日に第1刷の発行,以後再販を重ねて手元にある文庫本は第36刷(2021年4月)となっていました。ロングセラー小説として25年以上も多くの読者に読み継がれている稀有な長編小説です。
出版不況や活字離れが年を追って深刻になってきますが,やはり出版を支えるのは優れた作家であり作品であるとしみじみ思います。
紙の本が好きなので,なるべく地元の書店を利用することにしていますが,この数年で我が町の本屋さんも駅前のショッピングモールとスーパー内にある中規模書店の二か所だけになってしまいました。宝塚や演劇関係の定期刊行雑誌はなるべく地元の本屋さんで買うことにしていますが,小説や専門書については常に求めている書籍がそろっているわけではありません。去年ポール・ギャリコ・著『ほんものの魔法使』(創元推理文庫,¥800)が再版されたときは,わざわざ往復の電車賃1500円を支払ってジュンク堂まで買いに行きました。やはり品揃え豊富で個性的な本と出逢える中小規模の書店が田舎にもあると助かります。海外書籍や中古本以外は,なるべくアマゾンに頼りたくはありません。
街の書店を活性化するために,今年の「秋の読書推進月間<仮称>」は版元,書店など出版関係者が合同で行うことになった,と新聞に報道されていました。以下に記事を全文引用します。本だけでなく「紙の新聞」も販売危機にさらされているように思います。新聞の書評欄には随分とお世話になっているので,読書推進月間に相乗りしてはどうでしょうか。
引用文献:読売新聞2022年7月14日社会面記事「読書の秋 書店を盛り上げ」(p. 30)
全文引用
インターネットやスマートフォンの普及で紙の本の苦境が続く中,出版関係者が合同で「読書の秋」を盛り上げることになった。「秋の読書推進月間<仮称>」の記者会見に臨んだ関係者からは,書店の現状に対する危機感がのぞいた。
「書店がなくなれは出版業界も危ない,文化も失われるという危機感から業界が一丸となって書店を支える活動をすべきだとなった」。13日に東京都内で行われた記者会見で,出版取次大手・トーハンの近藤敏貴社長は語った。
背景には,長引く出版不況がある。出版科学研究所によると,2021年の出版物の売り上げは,紙と電子をあわせても1兆6742億円で,紙の出版物の売り上げピークだった1996年から3割以上も減少した。近年はコロナ禍や物価高も経営に影を落とし,閉店する書店も少なくない。
こうした中で,書店現場を活性化しようと,秋に行ってきた「読書週間」や「本の日」などの活動を強化し,全国の書店が参加できるような仕組みを作るために,出版関係者が足並みをそろえて取り組むことになった。
「秋の読書推進月間<仮称>」では,書店店頭のポスターを活用したデジタルスタンプラリーなど,読者が書店に足を運ぶ仕掛けを作る。また,本好きの文化人や芸能人にアンバサダーを委嘱し,読書推進活動をPRしていく。