雪組大劇場公演『蒼穹の昴』の第2段の先行画像の公開とメインキャストの発表がありました。毎回すばらしい写真を提供してくださる下村一喜先生に感謝します。清朝末期の政治的混乱を背景にした舞台なので,背景には黄砂の舞う北京や砂漠の風景を象徴する茶褐色の緞帳が用いられています。コアキャストの彩風咲奈さん,朝美絢さん,朝月希和さんがそれぞれの視線で未来を見据える構図が効果的に表現されていて魅力的な仕上がりの写真です。
舞台では,波乱の時代を生きた梁文秀,李春児,李玲玲の生い立ちや青春群像を織り交ぜながら,「戊戌の変法」を中心とした帝党派と后党派の権力抗争や権謀術策が重厚なドラマとして描かれるのでしょう。
浅田次郎さんの原作小説(講談社文庫)もようやく巻4の途中まで読み進みました。この作品を宝塚ならではのミュージカルに仕立てることは,演出家の原田諒さんの腕の見せどころです。テーマ音楽と共に序幕の部分(プロローグ)がどのような設定になるのか,小説を通読しながらあれこれと想像をふくらませています。原作では女性が登場する場面が少ないので,娘役さんのために新たにどのような役が用意されるのかにも注目しています。
その他の出演者のキャスティングの発表は8月以降なのでしょう。個人的には光緒帝は和希そらさん,珍妃は夢白あやさん(?),西太后慈禧は凪七瑠海さん,乾隆帝は一樹千尋さんなどはどうかなぁ・・・・?などと勝手に雪組や専科の皆さんのプロフィールを思い浮かべながら原作を読んでいます。恭親王奕訢,李鴻章,袁世凱,康有為など歴史上の人物以外にも,フィクションとして描かれる楊喜禎やトーマス・バートン,岡圭之介など魅力的な登場人物が物語を構成していて興味の尽きない小説です。
小説も終盤に近づき,ようやくミセス・チャンの正体が明らかになりました。「NYタイムズのトーマス・バートンと行動をともにする謎の美女」とだけ登場人物紹介には書かれていますが,宮廷の内情に精通し西太后慈禧とも気脈を通じている重要人物です。これ以上はネタバレなので控えますが,夢白あやさんにはミセス・チャンを演じて欲しいなと個人的に思います。