この前の日曜日、浜松町の四季劇場 秋で南十字星を観て来ました。公演初日だったので、入り口には浅利さんもいて賑わう劇場。これからはじまる昭和三部作の第一弾ということでこの作品からスタート。初演の頃に観に行ったけど、あんまり記憶にないなー、と見ておきたかった!
異国の丘や李香蘭より音楽が少なく、戦争もののストレートプレイを観に来た感覚に陥る。近くはじまる三島の鹿鳴館を観に来た気分を味わう。音楽は三木たかしさん、振り付けは加藤敬二さんと、四季感満載のこの作品。悪くない!が!やはり昭和三部作なのだ!!やや暗さと長さにやられた一幕。
頭を切り替え後半へ。そう、我がホーム、ふるさと、劇団四季。戦争もののオリジナルミュージカルをこのクオリティで、しかも何度も上演し続けられること、凄いと思います。四季だから昭和三部作も観たくなる、この心理。そして、戦争という出来事が、自分の中に消えずに、芝居を通して入ってくる。正直、学生を終えて社会人になり、戦争という出来事がかなり自分から遠い所にあったことを感じました。最近は学生時代には無縁だったワールドニュースなんかを朝から見て、世界中で起こる紛争を目にしていたのに、日本人の過去の経験、祖父母達の世代が見てきた時代の事は、すっかり自分から切り離されていた事に気づきました。そう考えると、こうして戦争を知らない世代にミュージカルとして、しかもライオンキング東京もうすぐ5000回の横で、公演があるというのは凄い事だと思いました。他のどんな所より、戦争物を観にくる客層が広いのでは無いでしょうか。四季を好きになったついでにでも、思わず観ちゃった三部作。それでも十分に価値のある事かと思います。
主人公の青年、保科が、絞首台に登る前に、後世の人に向かって語りかけるシーンが凄く良かったです。舞台ならではの、リアルな人間が、客席にいる人々に語る、戦争で罪の無い命が沢山散ったことを、歴史にはそうした無数の命があったことを覚えておいて欲しいといったメッセージでした。