冬の海へ
雑踏の気配が
まだ肩に残っていて
そのまま歩いてきた
冬の海は
ひとりでいることを
赦し…
受け入れてくれる
波の青さは
空の青さよりも
少しだけ深くて
見つめていると
さっきまでざわめいていた
胸の奥が…
ゆっくり鎮まっていく
遠くで
海猫の声がした
細い響きが
風にほどけながら
どこまでも
遠くへ運ばれてゆく
気づけば
わたしは淡くて
青に染まりはじめて
雑踏から抜け出たことも
泡立つ昨日も
もはやどうでもよくなった
ただ
波と風と
海猫の声だけが
静かに
ひとりでいたい願いを
包んでくれていた
それは優しく
それは静かに…
