銀杏の言葉 | 口遊〜鳴きウサギ〜

口遊〜鳴きウサギ〜

生きる為に 息をするのを忘れていた
わたしのまわりが 息をするには狭すぎる
野々草を摘んで 口遊みなが ゆっくり ゆっくり歩きたい
勝利者とは誰のこと?
居心地の悪いところに居たくはないの

銀杏の言葉


忙し過ぎる毎日に
待ったをかける 銀杏の枝は
びっくりするほど色づいていて
長らく見上げていなかった
日々を改めて 反省する

もう今年も終わるのに
冷たいことじゃあないかと
言われているようで…

わたしはなんのために
あくせくと働いているのか…
蟻のように 蜜蜂のように…

それは悪いことじゃあないよ
頭を撫でるように 一枚はらり…
その柔らかさに つい切なくなる…

抜けるような青空に
よく似合う その黄色い銀杏は
葉を落としてしまうまえに
もう一度笑っておくれよと
風に揺れた…

そんなに揺れないで…
落ちてしまうわ…
残った葉が 全て…

構わないよ…
また 来年新しくなるから…
君も…古いままでもないだろう?
言いたげな銀杏は
やはり 逞しく 優しく
暫くは その姿に見惚れていて
遠くむかしにさよならした
懐かしい あたたかい人を
思い出していた

自分を大切にしなさい…
木霊のように胸に響く…