病いと 蛍 | 口遊〜鳴きウサギ〜

口遊〜鳴きウサギ〜

生きる為に 息をするのを忘れていた
わたしのまわりが 息をするには狭すぎる
野々草を摘んで 口遊みなが ゆっくり ゆっくり歩きたい
勝利者とは誰のこと?
居心地の悪いところに居たくはないの

病いと 蛍


長らえた 命を何に感謝しようかと
つらつら考えているとふと
こどものころに 誤って
殺めてしまった 蛍を思う
わたしの命は
感謝ではなく 謝罪が最初

わたしは愚かな 幼い日
ただ 美しいから綺麗だからと
虫取り籠に 押し込めた
その夜は宝を手に入れた気持ちで夢の中
翌朝 一夜限りの命を閉じた憐れで
儚い蛍たち
彼らは わたしを許してくれるだろうかな?

あんなに淡く切ない光
二度と消したりしないから…

あの朝 泣き泣き誓ったけれど
蛍は許してくれるかな?

大人になって病いで患い痛むたび
彼らの痛みと心得て 痛いと言わない
わたしになった
蛍 どんなに口惜しかっただろう
蛍 どんなに悲しかっただろう

蛍の灯し火 近頃は滅多に見られぬようになり
この頃 本当に思い出す
わたしの過ちを許して欲しい