海に睡る夢 | 口遊〜鳴きウサギ〜

口遊〜鳴きウサギ〜

生きる為に 息をするのを忘れていた
わたしのまわりが 息をするには狭すぎる
野々草を摘んで 口遊みなが ゆっくり ゆっくり歩きたい
勝利者とは誰のこと?
居心地の悪いところに居たくはないの

ー海に睡る夢ー

果たせなかった夢の
亡骸を
冬の海に還して
あげました…

冷たい月の見護るお昼間
海に還してあげました…

果たし得ないことの
罪深さを
何度も何度も
謝りながら
波に還してあげました…

人は目覚めているうちに
いくつ夢を叶えるだろう
小さな望みも含めたら
わたしはなんと欲張りだろう

愛することの全ては
なんと頑是ない子の欲のように
手を伸ばしては
ああしたい こうなりたい
こうだったらいい ああだったらいい

望まぬ夢は夢となり得ず
愛は無償で終わらない

あなたが幸せでありますようにと
祈ることすら…烏滸がましくて…

冷たい月は無表情
答えは自分で探すのですと
言わんばかりの横顔でした

生まれてきたことを失敗だとは
もはや言う程子どもじゃあないが
大人になりきれない
自分の足掻きは

すまし顔する水鳥が
水面下で 足をバタつかせなきゃあ
沈んでしまうことと同じみたいで

毎日毎日やっと日々を 
掻いて生きているような気がします

果たせぬ夢は海に溶けて
それでもきらきら綺麗に輝き
わたしの名残りは
一度期は 綺麗だったんだなって
思うのです…

欲の果てに化石なるかな
貝の殻
いつかは棲めり
ざりがにくらい