ー歩く木の巡礼ー
貴方は 元気でいるだろうか…と
遠い異国の空の下で 思った
ここは
どこまでも 地平線が広がり
なんとまあ 広い邦だ
風は乾いているけれども
お誂え向きに 寒がりのわたしには
ちょうどいい…
肌も髪も少しばかり乾くけれども
そんなことは気にもしない
貴方は 元気でいるだろうか
この広大な大陸は
それでも海に隔てられはすれど
見上げれば 青空
描いたような雲は ぽっかり
そうだ…貴方の上へと続くのだから
翼ある鳥ならば
何万キロと羽ばたいて
貴方の頭上を一巡りして
一声鳴きもしようけれど…
生憎 この骨格では飛べないから
貴方に習った歌を歌おう
ホーム スィート ホーム
もうしばらくして 全て終えたら
帰るよ…
遠くあればこそ思う
自分の居場所
歩く木は巡礼する…
愛らしい女には
終ぞなれなかった…
それだけは 悔やまれる…
まあ…いいか…
淀みなく迷わぬ道は一筋と
今更至る無垢の境地哉