磯辺にて | 口遊〜鳴きウサギ〜

口遊〜鳴きウサギ〜

生きる為に 息をするのを忘れていた
わたしのまわりが 息をするには狭すぎる
野々草を摘んで 口遊みなが ゆっくり ゆっくり歩きたい
勝利者とは誰のこと?
居心地の悪いところに居たくはないの

寄す波に見るや
むかしを秋終い

ー磯辺にてー

磯辺は 秋の陽に照らされて
美しく物悲しく あるのです

思えば海は 見る景色違えど
あなたの故郷も わたしの故郷も
世界中の人々とも繋がって
繋がらないところはない
同じ海

この世に線引き出来ぬ海

それにしたって不思議じゃないですか?
海はちっともとどまらないのに
命をたくさん育んでいる

空じゃ命は育めない
あの美しい水色では…
目で見渡せる限りでは…

わたしはあなたと同じ星
同じ場所に生まれながら
数々の線引きの上
脆く儚い線引きの上
必死で堪えて立って居ますが…

それでも 心は
海のように 
ふたりを繋ぐ海のように
一つであると思っているのよ

嵐のように波立つ夜も
吹雪や時化や 暗い夜にも…

ワスレナイデネ…

根本はそこ…
わたしもあなたも
長い時を旅して
海から生まれた 海を母に持つもの…

な忘れそ君に言ふことなけれども
心の源寄せては返す

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