昇華 | 口遊〜鳴きウサギ〜

口遊〜鳴きウサギ〜

生きる為に 息をするのを忘れていた
わたしのまわりが 息をするには狭すぎる
野々草を摘んで 口遊みなが ゆっくり ゆっくり歩きたい
勝利者とは誰のこと?
居心地の悪いところに居たくはないの

ー句ー

無慈悲哉 嵐去り澄む秋の空

ー昇華ー

いいえ・・・目を叛けては 駄目なのです
ここから逃げ出したいことも
自分が自分を殺してでも
おろおろと 今の立場を護り通そうとしていることに

いいえ・・・偽っては 駄目なのです
終わってしまった思いの燃え滓に
まだ温まろうとすることも
笑顔の原動力を 涙をくべて作りだす苦痛も

伸びやかな自由も
心地よい呼吸も
目を叛けたり 偽りのもとでは
不自然な 化粧になることを
あなたが ほんとうは一番良く知っているのに

ほんとうに護るべきものは 何ですか?
ほんとうに失いたくないものは 何ですか?

それらは ひどく 透明で ひどく きらきらして
掴みどころの無いもので
追いかけてばかりいる自分が とてもとても疲れるのに
追いかけずにはいられない そんな人であったり
そんなものであったりしませんか?

実体を伴った欲しいものなんて 欲しい人なんて
この世に無いことを 誰もかれもみんな知っているのに

今 あることで 今 いることで 満足する
幸せに置き換える

自分の命を削り 削り 注いでゆく
毎日 毎日

それゆえ・・・わたしたちは なんにも遺せない

わたしなんかは 罪ばかり
日々積み重ねる 罪の山

目を逸らし 偽り続け 疲労困憊の果て
美しき青空は きっと見えてはこないでしょう

だって 空はいつも美しいもの

凝視し ありのままの空も自然も
あるがままの在り方だから

あなたは 目を逸らしてはいけないのです
偽っては いけないのです

あなたが よりよく透明に よりよくきらきらしたものに
掴めぬまでも 近づくために

☆ 昇華・・・個体が、液体を経ないで直接気体になる・また気体が直接個体になる ということから転じて 物事が一段上の状態に高められことを言う

ーうたー

抑へたる抗い難き幻想を
 いつ穿たんとけふも模索す