ゆうべの夢に | 口遊〜鳴きウサギ〜

口遊〜鳴きウサギ〜

生きる為に 息をするのを忘れていた
わたしのまわりが 息をするには狭すぎる
野々草を摘んで 口遊みなが ゆっくり ゆっくり歩きたい
勝利者とは誰のこと?
居心地の悪いところに居たくはないの

ー句ー

楽をして見る夢ぞなき晩夏哉

ーゆうべの夢にー

ゆうべ真夏の夢を見た
今年の夏では無い夏を
暑くて 暑くて
砂埃舞う 見たことも無い坂道を
自転車を押し 登っていました
あれは 幾つのわたしでしょうか?

蝉は煩いかあさんみたいに騒いで
どうにもやりきれず
けれど時には 凪になる
白いブラウス 肌に貼り着き
ひとつに束ねた髪さえも
すっかり濡れてしまうほど

それでも登るのが嫌じゃないほど
坂の上にはわたしを魅了する
何かがきっとあったのでしょう…

わたしはわたしの小さくなってゆく
後ろ姿を坂の下から
じっと見つめているのです
まるでカメラを回し続ける
映画監督のようにです

人生は報道映画の一場面のようであります
あなたもわたしも みんな主役で
だけど何を演じているかは
監督である自分ですらも 知る由も無いのです

答えはきっと 人生と言うタイトルの
映画を見るときに
わたしがあちらへ逝く刹那…
神さまが教えてくれるかもしれません

きっと単なる端役では無いと
はっきり教えてくれるかもしれません

ーうたー

蝉時雨真白に暑き陽も空も
汐風向日葵 夏ぞ恋しき