MKZ_FACTORY です。
2~4月は、想定外の仕事量でした。
修理ばかりではなく、新しい年式の車両や未経験の故障事例の検証等、かなり多くの修理事例がありました。
順番にご紹介していこうと思います。
昨年度末から、ゴルフ7のDSGに関する修理(整備)相談が増えてきました。
初年度は2013年式(H25年・6月)発売開始ですので、保証継承していなければ保証期間の3年を超える有償修理の車両が出てきました。
ゴルフ7やアウディA3 (通称8V)の型から、FF横置き乾式7速DSGは通称”0CW”と呼ばれています。
TCUの通信処理速度が早くなった他、大きな変更点はDSGの内部単体修理(分解)が正規で可能になったことです。今までは非分解でしたが、0CWの型よりギアボックス分解SSTが準備されました。
前型”0AM”では、かなり多くのシフト時の異音が多く見受けられましたが、正規ではASSY交換でしか手段はありませんでした。(分解するための工具設定が無いので各自手造りSSTで分解)
メカトロ部分も中身が一部改良されているようですが、基本構造は一緒です。
オイルも、2種類使われておりますが、一般的にはギアオイル 1.7ℓ交換のみでした。
昨年度末から、純正ギアオイル(G052512A2)がメーカー欠品との話を聞きまして、最近も入手できない状態みたいです。
G052512A2 75W API GL-4 鉱物油 1.7 ℓ使用
だったのですが、品番改定というより使用オイルの変更があったそうです。
※訂正 代替え品のようです。新設計のオイルではありません。
海外の話によれば
G060726A2 VAG 501.50(G50) GL-4+ 鉱物油 1.9ℓ (2ℓとの話もあります) 35 mm2/s
に変更されたとの情報です。
これは、5速M/Tに使用されているギアオイルで特別新設計オイルということではなさそうです。
オイルの規定量も少し増えています。
2014年度にメーカーから発表がありまして、これはリコールにもなった内容ですが、過去には化学合成油(G052171A2)を使用していたそうですが、長期間使用した場合、メカトロ内部のやTCU等を侵食する恐れがあるとのことで、鉱物油に変更した歴史があります。
これに関してはいろいろ諸説がありまして、一概に化学合成油がダメということではなくて、ギアオイルの成分の何かが原因ともいわれています。
G052512A2規格相当の科学合成油の社外オイルはたくさんあります。
有名どころでは、モチュールのDCTFは湿式乾式DSG問わず、1つのオイルで規格カバーしているスーパーマルチオイルがあります。
当店が取り扱いがある”ルブロス”の”スーパースポーツATF”も、AT、CVT、DSG(Sトロニック)全てに使用できます。(部分合成油)
1つのオイルですべて賄えば在庫持たなくて済むので、商売上かなり利点がありますが、実際問題DSGにとって最適なオイルかどうかといわれれば甚だ疑問です。
当店では、テストで2種類のオイルをDSG並びにSトロニックに採用していこうかとテスト&検証中です。
ルブロスのオイルはATFという名前になっていますが、ATF<DCF(デュアルクラッチフルード)同じ多板クラッチシステムでも、デュアルクラッチシステムのほうがより過酷で厳しい条件になっていますがルブロスのこのオイルはATFを上回る規格で作られています。
さらに特殊な添加剤を注入することで、オイルの上昇を抑える効果(同じ使用条件で他銘柄のオイルより油温が上がりにくい)がテストの結果証明されています。
一番重要なポイントは
40℃ & 100℃時の 粘度指数 の違い
で、ATF(DCF) でもいろんな種類(規格)があります。
海外生産のオイルは、粘度指数等の詳細は公開されていますので、指定オイルと社外オイルとで比較してみますと面白い発見があります。
一般的にSトロニックオイルや湿式DSGの純正オイル G052182A2 &G052529A2 は40℃時の粘度指数はやや硬め(約36cSt (mm2/s)ですが、モチュールのDCTFは約33cSt (mm2/s)とやわらかめです。交換後シフトフィーリングがよく感じるのはこのためです。
ちなみに、阿部商会さんが取り扱いがあるFEBI やSWAGも、約33cSt (mm2/s)とほぼ変わらない数値です。交換後は純正よりフィーリング向上します。
問題は耐久性(いわゆる熱ダレ)です。それに関してはノーコメントです。ルブロス製のオイルは熱ダレに関しては性能低下等全く問題ありません。
社外オイルの取り扱いはなかなか簡単ではありません。最悪純正オイルよりパフォーマンス落ちる場合もあります。特に耐久性(熱ダレ)に関しての情報はいろんな諸事情で検証結果は公表していません。
話はそれましたが、今回は H26年車 ゴルフ7バリアント DSGギアオイル交換の依頼です。
走行距離は、39500kmです。
DSGのオイル交換時の当店の流れです。
・診断機によるエラーチェック。測定値、識別チェック。
・冷間時のDSGの状態チェック(不具合があれば、モニタリング測定)
・オイル交換
・プログラムアップデートの確認
・基本調整
・アダプテーション走行学習
・暖気後のDSGの状態チェック(時間があれば、モニタリング測定)
という流れです。
今回は診断時にメーター上ではエラー表示ありませんでしたが、
P177B00: クラッチ1 リミットに達した
というエラーが入っていました。
このエラーは0AMの初期から多いエラーです。
メーカーでは、メカトロ交換の指示が出ています。(ジャダーが発生している場合はDSGクラッチ交換)
実際、このエラーが入力されてる多くの車両は、ジャダーが発生しています。
ジャダーの発生とこのエラーの因果関係ははっきりしていますが、走行距離に応じて対処方法が異なります。
まずは、ジャダーの発生の要因とこのエラーの発生原因を解明していきます。
0CWの型より、測定値の項目が大幅に増えました。
診断機PCよりXPSでA4にて印刷しますと26ページ分の情報が詰まっています。
その中から、それらしい数値を読み取りことで今現在のDSGクラッチの状態が解ります。
・クラッチポイントのアダプテーショントルク値
・クラッチエンドポジションのアダプテーション値
という項目があり、それぞれのポイント1・2・3時のポジション位置と、その時のトルク値を比較することでジャダーが発生しやすい状態かどうかが解ります。
このアダプテーション値という文字から推測できると思いますが、DSGの基本調整&アダプテーション走行学習でここの数値が補正(調整)されます。
今回のゴルフ7は、
クラッチ2 最大トルク値 250NM 21.29mm max 22.89mm
クラッチ1 最大トルク値 192.75NM 25.74mm max 26.74mm
最大トルクが、250NMを下回っており、最大トルクが発生しているポジションがMAX数値より1mm未満ですと、リミッターに達したエラーが発生します。クラッチ1側が1mmしか余裕がありません。
これを基本調整&アダプテーション走行学習 もしくは、プログラムアップデートすることで改善させることができます。
基本調整後、
クラッチ2 最大トルク値 250NM 20.56mm max 23.05mm
クラッチ1 最大トルク値 250NM 24.55mm max 26.79mm
基本調整前より手前で最大トルクがかかるようになりました。若干ではありますが、ジャダーは少し改善されているように思います。
MAXより、2mm以上手前で最大トルクかかるようになりましたので、エラーも入力されません。
この数値をグラフ化しますと、こんなグラフになります。
緑色が正常、リミットに達していますと、赤色で表示されます。
DSGのクラッチを交換し、適正なプログラムアップデートしますと、左右均等なクリアランスになります。
クラッチ1 クラッチ2と、均等なグラグではないため不具合が出てもおかしくない図ですが、基本調整等繰り返すことでこれを適正にします。
この作業依頼時も、新しいDSGオイル欠品中でしたのでストック分を使用します。
ギアオイルに関する情報は国内正規発表聞いたわけではないので、もしかしましたら日本国内では違うかもしれません。
情報が間違っていましたら、即座に訂正いたします。
追記
昨年度末より、DSGに関する純正オイルが未だに入荷未定の状態が続いているようです。
どうも、日本だけでなく海外でも同じ状況だそうで、上記のギアオイルの品番は代替品番とのことでした。



