
前回は頑固で一生懸命やっているけど
いまひとつ商売が下手な焼き鳥店について書きました。
今回は別の店のお話です。
その店は開店してもう40年はやっていそうな店です。
いかにも赤提灯という感じの焼き鳥屋です。
古くて小さな繁華街で二等立地ですが
市役所から駅に向かう導線の近くで需要は見込める場所です。
カウンターがコの字型に16席ほどあって
他に10人ほどの小宴会ができる小上がりがあります。
お客さんは結構入っていて儲かっていそうですが
店主一人でやっています。
焼き鳥は一本100円~と安くてちゃんと手刺しで出しています。
焼き鳥は普通に7~8種類、他に何種類かつまみがあります。
ここの店主は熟練した技を持っています。
とにかく早い。注文を受ける動き、ドリンクを出す、
焼き鳥を焼く、料理を盛る、追加注文をとる、他の客をチェックしながら
すばやい動きに全く無駄がない。
それでいて適当に接客もする。
しかし不思議なことに飲み物のメニューがどこにもないのです。
どうやら料理は安いが酒は高い店のようです。
だからカウンターに座る客はそんなに長居をしない。
生ビール2杯くらいでファーストオーダーで帰っていく客が多い。
安い焼き鳥で集客し、ドリンクで稼ぎ、どんどん客を回転させるという
スタイルでしょうか。常連客は2杯目から安い焼酎ボトルなどを飲んでいます。
小上がりは小宴会で盛り上がっています。
ここは完全に常連客のスペースで
親父さんのペースに合わせてくれる客です。
オペレーションも工夫されていて
モツ煮込みなど盛るだけでいい。
すぐ出せるメニューに特化しています。
だから回転がいいし店主の動きが早いので注文せずに
だらだらいるような客はいない。
焼き鳥は値段の割に美味しいのでクレームは少ないでしょう。
客単価はそれでも2500円前後取れている感じです。
ここは客がいても夜9時にはさっさと閉店準備に入ります。
ラストオーダーなんてありません。親父さんが片付けに入ると
常連客がどんどん帰っていくので他の客も帰らざるを得ません。
早い時間から仕込みをして
夕方から夜9時に一気に売る。
そんなビジネスモデルが成功しているようです。
売上は少ない日でも一日5万円、多い日で10万以上という感じです。
一人で売っていますからかなり効率がいいですね。
平均回転率で言うとカウンターが1.3、小上がりが0.6で
客数は27人、客単価2600円として70,000円、
25日営業で月商1,750,000円、人件費も掛からず、
減価償却もほとんど済んでいますから
毎月100万円近い利益が出ているはずです。
企業経営の飲食店のビジネスモデルはすべて平均的になりがちですが
そんな店はいくらでもあります。
繁華街に50席位のお洒落な店を作って従業員を常時3人ほど使い
高い家賃を払い、宣伝にお金を使っても回転率は1回転以下、
売上は300~400万円あっても利益はほとんど出ないという感じの店です。
商売は常識をなぞるようなやり方よりも
何か特化した魅力で集客し
利益が出る仕組みを考えるべきという例ですね。