本、父親、家族、2003年 《2》 | 私がガン?びまん性大細胞型B細胞リンパ腫のステージ4&乳がん

私がガン?びまん性大細胞型B細胞リンパ腫のステージ4&乳がん

昨年、悪性リンパ腫と乳がん治療を行い9月下旬に退院。
悪性リンパ腫が一つだけ残っていて、様子見です。順調に小さくはなってきているので希望は感じています。
悪性リンパ腫が寛解したら、後回しになっている左胸の再建手術を行う予定です。

〈本、父親、家族、2003年《1》の続き〉


その父親は5年ほどの

介護生活を余儀なくされ、

この2月に他界した。

85歳だった

最後に会ったのは昨年の7月。


娘と2人で長野に帰り、施設の

父親を見舞った。


父親は私と娘を混同したり、

孫がいたことを一瞬忘れたのか

私に「娘か?」と尋ね、頷くと、

娘の頬を両手で触り、


「かわいいなぁ

かわいいなぁ」


と撫でて抱きしめてくれた



以前は、娘の話を出すと、突然

我に帰ったかのような表情をして


心配のあまりどうにかなってしま

うのではないかという状態で、


豹変する父親への怖れと、それに

よる母親への心労を考え、しばらく

会わないようにしていたのだけれど、


混沌とした父親は、穏やかに、感動に

満ちた表情で娘を迎えてくれた。


私への心配が減った後の父親の

心配は、孫へと移っていた。


それだけ、私と娘が心配をかけ

るような状態にいたのも確か

なのだけれど、、、



帰り際、父親はベッドの上に仰向け

になったまま、ずーっとずーっと


バンッ、バンッ、バンッ


と大きな音で拍手をして送って

くれた。


首をこちらへ向けられないので、

天井を向いたまま


それは私にとっては父親に生きて

会う最後と決めていた。


あれ以上のお別れはないと思った。


会わないことも親孝行の1つ、、、



訃報があったのは、ょうど私

の病変が悪化し、ちゃんとレン

トゲンを撮って調べなければと、

新たな病院を探そうと

携帯を手に取った瞬間だった。

翌日、長野に向かった。

続く、、、