「かもめ食堂」の荻上直子監督が
2019年に発表したオリジナル長編小説を、
自身の脚本・監督で映画化。
主演は、松山ケンイチさん
共演はムロツヨシさんはじめ、満島ひかり、吉岡秀隆、江口のりこ、柄本佑など豪華実力派俳優陣が出演。
「ムコリッタ(牟呼栗多)」は仏教の時間の単位のひとつ(1/30日=48分)を表す仏教用語で、ささやかな幸せなどを意味する
荻上直子監督作品は、
とにかく食材や料理の画角へのこだわりが素晴らしく、
役者の食べ方や食べる音にまで繊細な気遣いが感じられる。
なので、
当然のことながら、
たかがきゅうりや、たかが白ごはんがとてつもなく極上の食べ物に見えるから不思議…
反面、時折り出てくる
主人公の山田(松山ケンイチ)が勤める
イカの塩辛の工場のシーンは、
イカという食材がおよそ美味しそうには見えずむしろグロテスクで気持ち悪くさえ感じる。
しかし、そんなのものともせず
山田は、社長からもらったイカの塩辛を
毎日美味しそうに、愛おしそうに食べる
その対比が、なんとも絶妙でうまい
もうひとつの絶妙は、
ムロツヨシ演じる、主人公の隣に住む少し変わった住人、島田
勝手に他人のウチの風呂に入ったり、ご飯を食べたりやりたい放題…
本来なら
ただただ迷惑な隣人に他ならないが、
時折り醸し出すいいひと感が絶妙なのだ
すべてタダ飯では済まさずに
ささやかながら
自作の野菜や漬物を持ってきたり
ささやかながら
いいこと言ってみたりと
嫌なやつといいやつと影のあるやつを絶妙のバランスで演じているムロツヨシさんは
今作品の助演男優賞候補ではないだろうか?
前作の「神は見返りを求める」での怪演の記憶に新しいムロツヨシさんの今後の活躍から、目が離せません!
他にも、満島ひかりちゃんや吉岡秀隆、榎本佑、緒方直人さんなど演技派俳優さんが多数出演されており、じっくり役者さんの演技を味わえる贅沢な映画であるといえます。
音楽は、パスカルズが担当しており
川辺の美しい風景とも相まって、
なんとも不思議で楽しく、どこか切ない
絶妙なハーモニーを奏でている
普段は、恋愛映画か洋画か派手なアクション系しか観ないというあなたにも
是非とも、本作品にてゆっくりと流れる不思議なムコリッタ時間を体験してみてほしい。
決して派手ではないけれども
しみじみ染み入る興があります♪
カメレオン俳優、松山ケンイチはじめ
ムロツヨシの好演(怪演)がひかる
実力派俳優たちの演技を存分に楽しめる
いかに生き、いかに死ぬのか?
映画好きなあなたに♪
★★★★☆(星3.9)
鑑賞日時
2022年9月29日(木)
Tジョイ京都
2021年製作/120分/G/日本
配給: KADOKAWA
松山ケンイチ
1985年3月5日生 青森県出身 魚座 B型
2016年「聖の青春」で、第40回日本アカデミー賞 優秀主演男優賞。
作品ごとの役柄によって演技・外見にいたるまで柔軟に転換させ、一貫して固定した役柄・イメージが存在しない「カメレオン俳優」「憑依型俳優」と称される。
絵本好き。文は縦書き、下駄を愛用、和食好き。将棋を嗜む。
ムロツヨシ
1976年1月23日神奈川出身 水瓶座A型
大学在学中に役者を目指すようになり、1999年、作・演出・出演を兼ねた1人舞台でデビューして以降、演劇を中心に活動。本広克行監督の映画「サマータイムマシン・ブルース」(05)をきっかけに映像作品の出演が増え、本広監督のTVドラマ「逃亡者 木島丈一郎」(05)や映画「UDON」(06)、福田雄一監督の映画「大洗にも星は降るなり」(09)やTVドラマ「勇者ヨシヒコ」シリーズ(11、12)、ミュージカル「フル・モンティ」(14)などに出演。個性派俳優として徐々に人気に火がつく。福田監督の作品にはほぼ必ず顔を出す常連で、同監督が脚本・演出を手がけた「新解釈・日本史」(14)では連続ドラマ初主演も果たした。その他の出演作に、映画「アフタースクール」(08)、「シュアリー・サムデイ」(10)、「横道世之介」(12)、NHK大河ドラマ「平清盛」(12)などがある。08年からは自身がプロデュースする舞台「muro式」で脚本・演出・出演を務め、毎年公演を行っている。
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映画「川っぺりムコリッタ」予告編(60秒)
映画「川っぺりムコリッタ」主題歌は、パスカルズの「むこりった」