前回お話しした通り、オランダ式のトマト栽培では
トマトの樹は10メートル以上伸びます。
しかし、ここで当然疑問が出てきます。
「そんな長いトマト、どうやって支えているの?」
私も最初にハウスを見たとき、同じことを思いました。
ハウスの天井には、ずらっと鉄のワイヤーが張られていました。
そのワイヤーから、1本1本のトマトに向かって紐が垂れ下がっています。
そしてトマトの茎は、その紐に沿って上へ上へと伸びていきます。
これが「ハイワイヤー栽培」と呼ばれる方法です。
しかし、トマトは成長するとどんどん上へ伸びていきます。
もしそのまま伸ばし続けたら、すぐに天井に届いてしまいます。
そこで使われるのが、
"フック(誘引フック)"
と呼ばれる道具です。
このフックには、あらかじめ長い紐が巻き付けられています。
トマトが成長して高さが足りなくなると、フックから紐を少しずつほどき、トマトの樹をゆっくり下へ降ろしていきます。
そして、横へずらして管理します。
この作業を「つる下ろし」と言います。
つまり、トマトは真っ直ぐ上に10メートル伸びているのではなく、
・上へ伸ばす
・下へ降ろす
・横へずらす
この動きを繰り返しながら、ハウスの中を横方向に移動していくのです。
そうする事で、トマトの頭(成長点)と隣同士の株は常に揃い、
一定の高さと幅を維持し続けることができます。
最初に見たときは、
「こんな育て方があるのか…」
と衝撃を受けました。
さらに驚いたのは、この作業をほぼ毎週行うことです。
トマトは1週間で15〜20cmほど成長します。
そのため、
・誘引
・つる下ろし
・樹の位置調整
といった作業を、常に行い続けなければなりません。
つまり、トマトの成長に合わせて、人間が樹の位置を動かしているということです。
ここまで管理して、初めて
・長期栽培
・高収量
が実現します。
世界基準の農業は、「ただ作る」だけではありません。
植物の成長をコントロールする技術。
それが必要でした。
しかし、ここでまた新しい問題が出てきます。
トマトは成長すると、葉もどんどん増えていきます。
もしこの葉をそのままにしておくと、ハウスの中はどうなるでしょうか?
実はここにも、収量を大きく左右する重要な作業があります。
今回はここまでになります!
次回、
「葉っぱが多いほど光合成はたくさんできる?」
最後まで読んでいただきありがとうございました!
次回もお楽しみに!
〜おまけ〜
今回、トマトのつる下ろしという作業を説明しました。この作業は、単にトマトの高さを下げるだけではなく、高さと幅を揃えるという事が大事になってきます。高さにバラツキがあると、高い株は光をたくさんもらえて成長します。しかし、隣の株は高い株に邪魔されて光がもらえず成長が遅くなります。そうなると、株1本1本の生育差が生じハウス全体のバランスが悪くなります。例えば、世界的スターの大谷翔平選手がチームに1人いたとしても、チームメイトが野球素人のチームじゃ試合には勝てませんよね?トマトも同じで150%のパフォーマンスを出せる1株より、80%パフォーマンスを出せる9株の方が圧倒的に結果(収量)はでます。その為に、高さと幅を揃えて1株がもらえる光の量を均等にします。高収量栽培をする上では、大事なことなのでぜひ覚えておいてください!