アメリカ式フィッティング! シャフトにかかる負荷についてのお話 | 宮崎太輝のグローバルスタンダードゴルフ!

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NY出身のティーチングプロ/トレーナーであるタイキが、日本のレッスン業界を面白くするために始めたブログ。日本とアメリカ最先端のゴルフレッスン/トレーニングの違いを教えてあげちゃいます;)



こんにちは!

Torqueのたいきです!

突然ですが、ゴルフをやっている皆さんに質問です。

「あなたの目の前に、肩も腰に全然回らない完全に腕振りのお爺ちゃんがいます。」

「もしあなたがこのお爺ちゃんにクラブをあげるとしたら、どんなクラブ?」

皆さんがもしゴルフクラブのフィッター(ゴルフクラブをお客さんに提供する人)だったら、どんなクラブをこのお爺ちゃんに提案しますか?

この質問をしたとき、この前レッスンを受けてくださったNaomisan以外、アマチュア・プロ・クラフトマンの皆(日本でもアメリカでも)が

「軽くて柔らかいシャフトのクラブ」

と答えました。

僕も昔そう答えた記憶があります。

でも僕の先生であるNYにあるPetes Golf Pro ShopのOhnoさんとKirkさんからするとそれは大間違い!だそうです。

そして、僕も含めOhnoさんとKirkの元でフィッティングしている人たちは皆それが間違っていると理解しています。

それでは皆さんはなんで間違ってるかわかりますか?

わからなかったら今回はゴルフスイング中のシャフトにかかる負荷についての知見を深めましょう♪♪

これを読めば日本のフィッティングとアメリカの最先端のフィッティングの違いがわかるだけではなく、

自分の求めているゴルフにはどのようなスイングが良いか

そしてどのようなトレーニングやクラブが必要かが見えてくるかもしれません。



写真はNYのMineolaという町にあるPete's Golf Pro Shopです。

僕の家から10分ほどのところにあったので、よく遊びにいっていました笑

以下の動画にでてくる方がKirk Oguriプロです。

彼はここでアマチュアからプロを対象にレッスンとフィッティングサービスを提供しているアメリカでもレアな存在です。

今回の記事は以下の動画で彼が英語で説明していることを日本語で解説します。

英語がわかる人は動画をみるだけでいいです。笑



まず、この動画はフィッティングの重要性を説いている動画です。

そしてそのアプローチとしてスイングのタイプによって『シャフトにかかる負荷』が変わり、

シャフトにかかる負荷の度合い、タイミング、ピーク、RAMP、フレックスをみて

ゴルファーに提供するクラブが変わってくる!というのをKirkが説明してくれます。

それでは、まずは2つの異なったスイングタイプをみてみましょう。

まずは宮里藍ちゃんのようにゆっくり、大きなスイング!



もう一つは小田孔明プロのように、メチャクチャ速く、コンパクトなスイング!!



それではこの2つスイングそれぞれにかかっている負荷をグラフに表したものがあるのですが、まずは藍ちゃんぽいスイングの方からみてみましょう。



なんだかよくわからないグラフがでてきましたね。

グラフに示されている直線はシャフトの横方向への負荷の度合いを示し、

点線は縦方向への負荷の度合いを示しています。

それぞれの線が上下に伸びれば伸びるほど、それぞれの方向への負荷が大きくなるとお考えください。

そして、2本の線が交わっているポイントが2つあります。

この2つのポイントの距離によってスイングのテンポだかタイミングがわかるって感じです。



こうしてみると、藍ちゃんっぽいタイプのスイングは2つの線が交わるまでの距離が長く、徐々に徐々にシャフトに負荷をかかってスイングしているのがわかりますね。

それでは、今度は小田孔明プロのようなスイングのシャフトの負荷のかかり具合をみてみましょう。



うおおお!!

さっきのグラフと全然波形の形が違う!!

よく見てみると、2つの線の交わるポイントが近い+シャフトにより負荷がかかっているというのがみてとれます。

2つのグラフを見比べてみると、



わお。やっぱり全然違いますね。。

このように、シャフトにかかる負荷というのはゴルファーそれぞれのスイングによって変わるというのがわかります。

藍ちゃんぽいスイングはシャフトへの負荷が少ない=縦方向と横方向に曲がる度合いと捻れるが小さい。

Ohnoさんいわく、シャフトの役割は『クラブフェースをインパクトのときに正面に戻すだけ』だそうなので

このようなスインガーは柔らかいシャフトと使ってもOK。

しかし小田孔明プロのようにシャフトへの負荷がとても大きい場合、シャフトは縦方向と横方向に曲がる度合いがかなり大きくなり、その上捻れるの度合いも大きいのでダウンスイング中フェースはどこを向いてしまうからわかりません。

そうすると曲がりにくく固い剛性分布のシャフトを選ぶ以外インパクトでフェースを正面に戻せなくなるので、

必然的に固いシャフトを選ばないといけません。

後はスイングのタイミング(2本の線の交わる距離)の長さと測定器に表示される数値によってシャフトの軽さが変わってくる。という感じだったと思います。

ちなみにこの測定器を使用したフィッティングを受けた場合、そこらへんの工房やお店で受けるフィッティングと全く違うクラブを提供されます。


          *Pete's Golf Pro ShopのオーナーのPete氏*

僕の生徒さんのOzawaさんは僕よりヘッドスピードが遅いですが、

Kirkのフィッティングを受けてダイナミックゴールドのR(柔らかくて軽い)からProject X の6.0(メチャクチャ固くて重たい!!)のアイアンセットとドライバーを提供されました。

クラブが合うとSmash Factor(ミート率?)が上がり、ボールの初速が上がります。

最終的にOzawaさんは、僕よりもスイングスピードが遅いにも関わらずフィッティングによってミート率が上がり僕と同じ飛距離を手に入れ、ミスも激減しました。

そして僕のパートナーの吉田コーチもここでフィッティングを受けて自分が日本でフィッティングしたクラブとは全く違うドライバーを手に入れて確実に飛距離と正確性、そしてフィーリングが向上しました。

アメリカでより質の高いフィッティングサービスを提供しているクラフトマンやフィッターにとって、この測定器はなくてはならないものです。

そして、この測定器は日本にはありません(というか、今アメリカにも売ってないのですが(^_^;))

だから同じようなサービスを提供できるところは少ないでしょう。

同じようなことができるのはFujikura ENSOとGEARSという高感度のセンサーを持っている施設だけ。

日本にあるのか疑問だし、それらの機材は超高いらしいから、きっとフィッティングフィーも超高いんじゃないかな(~_~;

おっとっと。

話が逸れました。

そんなわけで、最初の質問に戻りましょう。

身体の回らない腕振りスイングをしているお爺ちゃんに提供するクラブはどんなクラブ?という質問でした。

正解は、『固くて重いクラブ』だそうです。



腕振りお爺ちゃんは腕でクラブを振り上げ、力ずくでクラブを振り下ろしボールを打ちます。

これって、程度は違えど小田孔明プロのスイングに近いようなシャフトの負荷がかかっているんです。

ぷにゃぷにゃのシャフトが刺さっているクラブで腕を振り上げた瞬間力ずくでクラブを振り下ろすと、クラブは信じられないほど曲がります。

スインガーがどんなに非力でも、そんな感じにクラブ振ったら誰でもシャフトに負荷が掛かりまくり、曲がるので固いシャフトが必要になるわけです。

そしてテンポもとても速いので、ちゃんとミートできるスピードでクラブを振れる様に重さを選ばないといけない、ということになります。

Make sense(納得)していただけましたでしょうか?

まあ、納得できなければPetesのところで働いてるクラフトマンを紹介するので論破されるか実際彼らのフィッティングを喰らってきてください笑

もし僕がおかしなことを書いていたら、自動的にPetesの人たちに僕が怒られるのでその時は僕を笑ってやってください笑笑

いつも通り長い内容の記事になりましたが、以上がシャフトにかかる負荷についてのお話でした。

まとめとしては

・スイングのタイプによってシャフトにかかる負荷の度合いが変わる
・上に書いてなかったけど、シャフトを選ぶ要素としてヘッドスピードやハンディキャップはなんの目安にもならない。
・フィッティングするといいこといっぱい!
・じいちゃんばーちゃんのクラブのチョイスは軽いクラブだけではない。
・この記事に書いてある情報は、ゴルフを生業にしている人たちにとってヒントが散らばりまくっている有益なものばっかり!

て感じです。

今回は以上になります。

次回の記事ではなぜ日本人プレイヤーが飛ばせない人が多いのかを書かせて頂こうと思います。

読んでいただきどうもありがとうございました。m(_ _)m


P.S.

今年のPGAショーにいったとき、会場でたくさんのフィッターの人たちに出会いました。
彼らが今年のPGAショーで探していたのは今回のブログで紹介した『シャフトの負荷を測る計測器』に代わるものです。
この計測器を作った会社もうこの計測器を作っておらず、本当に質のよいフィッティングサービスを提供している人たちはこれに代わるものを見つけようとしていたのですが、結局見つからなかったと肩を落としていました。
何人のフィッターの人たちに日本でこれを作ってくれるところを探してくれといわれたかわかりません。
そんなわけで、この計測器とに似たようなものが作れる方や企業様でいらっしゃったらtm.torque@gmail.comまでご連絡ください。
詳しくは、メールでお話させて頂ければと思いますのでどうか宜しくお願い致します。

たいき