飛ばしの要素 その1 "The Kinematic Sequence(身体が回る順番)" | 宮崎太輝のグローバルスタンダードゴルフ!

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NY出身のティーチングプロ/トレーナーであるタイキが、日本のレッスン業界を面白くするために始めたブログ。日本とアメリカ最先端のゴルフレッスン/トレーニングの違いを教えてあげちゃいます;)

こんにちは!

Torque Athletic Golf Instituteのタイキです!(今回から自分の会社名をいれることにしました笑)

Facebookでアップした高校の後輩のヒロキくんのレッスン動画が好評だったので、今回は彼のレッスンと関連付けたテーマについてお話したいと思います。

今回のテーマは、"Kinetic Sequence(キネティックシークエンス)"であります!

Kineticとは運動とか動きを表す単語で、Sequenceは連続とかって意味の単語です。

アメリカのゴルフインストラクターがこの単語を使う場合、身体を回す順番についての説明をするときに用いられたりします:)

それでは、以下の画像を見てみましょう。

(引用:http://www.golfloopy.com/golf-swing-sequence-and-timing/)

このグラフは、ゴルフスイングをするときに一番効率が良いとされるそれぞれの身体のパーツを回す順番を表しています。

ちなみにアメリカのゴルフの研究論文にはほとんどこのようなグラブがでてきます。

一般的なゴルファー、ゴルフインストラクターにはなじみのないであろうこのグラフですが、タイトリストが主催しているゴルフ専門のトレーニング資格であるTPIを持っている人はこのグラフについてちゃんと理解されています。(テキストにでてくるので笑)

より効率の良い身体の動きについて議論をするとき、今やこのグラフなしでは議論できないって感じです。

それでは、このグラフについて簡単に説明させて頂きます。

X軸が時間、Y軸が回転のスピードを表しています。

A(紫)の線が腰、B(緑)の線が胴、C(赤)の線が肩、D(青)がクラブの動きを表します。

線が上に向かって伸びると回転のスピードが上がり、下に向かって伸びると回転のスピードが下がります。

グラフをみてみると、A,B,C,Dそれぞれ山ができていますね。

説明をなるべく簡単にするために余計な説明を省きますが、ダウンスイングをはじめるとまずAの山ができ、その瞬間B、C、Dと順番にそれぞれの山ができるのです。

それぞれの線は山なりになっているので、それぞれの身体の部位は回転(加速)した瞬間に減速しているということになります。

最適な身体の回し方をした場合、腰は加速した瞬間減速するので回転スピードは胴に伝わります。そして胴が加速した瞬間減速するおかげで、回転するスピードが今度は肩に伝わります。そして同じようなことが肩から腕へ、腕から手へ、手からクラブに起こり、効率よく身体が回りクラブを早く振ることができるのです。

文章で書くとよくわからないので、このグラフの通りの身体の動きをしたときのスイングをこちらのリンクから見てみましょう→http://www.amm3d.com/support/kinematic-sequence/

おお、なんかそれっぽいスイングになっていますね(笑)

まあ何を言いたいのかといいますと、ダウンスイングをはじめるときの身体を回す順番というのは腰→胴→肩→手(クラブ)が現時点では最適とされているということ。

しかし、このバランスが崩れてしまった場合色々と不具合がでてきてしまうのです。。

下の画像の男の子のそれぞれの身体の周り具合を見てみましょう。


上に書いた情報を元に考えると、彼の腰は胴・肩・手(クラブ)を置いてけぼりにするとように先行しすぎているのがわかります。

彼は『腰は早く切り返すもの』と思い込んでおり、『腰は回った瞬間に減速する』ということを知らなかったのでこのようなスイングになっていたのです。(彼の身体を回り方は、絶対に上に示したグラフと一緒ではないであろうというのが想像できますね)

腰単体が早く動きすぎてしまうと、胴・肩・腕・手・クラブとの連動が崩れてしまいます。

そうすると、一生懸命早くクラブを振っているのに飛ばない・当たらない・ミスショットがでてくるわけです。

彼の場合、レッスン前の練習で5・6球打っていたときかなり薄くヒットしていたし、腰が回りすぎてしまうことによって起こるスピンアウトというミスをしていました。

なので、今回彼のレッスンでは今回のブログのテーマであるKinetic Sequenceに取り掛かることにしました。

何をしたのかを簡単に言うと、腰の回転を調整してもらいました。

上述した説明をした上で適切な腰の回転スピードを実際に体験してもらい、ボールを打ってもらいました。

そのレッスン後のスイングがこちら。


上のスイングとだいぶ違うでしょ??緑線はGood、黄色線はまあまあって感じです。それでもBeforeのスイングと比べたら劇的な変化であるのは間違いありません。Beforeのスイングは身体の連動が崩れていて、かつ身体の間接のアラインメントがものすごいことになっていたので、将来彼は腰痛などの怪我のリスクがあったかもしれませんでしたが、Afterのスイングでしたらそのリスクも下げられたと思います。

彼はこれから大学生になる青年でプロを目指しているのですが、怪我は絶対に避けなければいけません。これからトレーニングすることは絶対なのですが、インストラクターは怪我のリスクも下げることも考慮してレッスンしなければいけないのです。(ちなみに僕の大学院での学部は医療系も入っていたので、普通の人よりかはその辺についてもわかります;))



少し話が脱線してしまいましたが、今回の話のまとめに入ります。

ゴルフスイングには効率よく、パワフルにスイングするための最適な身体を回す順番があります。

そしてその順番は腰→胴→肩→腕→手→クラブといった感じであり、それぞれの部位は回転した瞬間に減速しなければなりません。

もしこの部位が一つでも勝手に早く・遅く回転してしまったり、止まってしまったり、タイミングが変わってしまっては最低な身体を回す順番が崩れてしまうので、効率の良いスイングができなくなってしまいます。

適切なバックスイングができているという前提がありきですが、以上のことを踏まえてクラブを振ることができると一生懸命クラブを振らなくても気持ちよくかつ早くクラブを振ることができるようになります。

なので、もしよかったらトライしてみてください;)

今回は以上になります。

僕の拙い日本語の文章を読んでくださりどうもありがとうございました。

P.S.

ちなみに今回の記事に関連した文献はこちら。http://www.amm3d.com/support/articles/world-golf-fitness-summit-2008-phils-presentation/

2008年ワールドゴルフフィットネスサミットで行われたプレゼンの内容です。

一番最初に示したグラフですが、普通の日本のインストラクターやトレーナーの人の目に止まったのはTPIが日本にきた2013年でしょう。(K-vestという測定器を持ってた人は別でしょうけど)

日本にはまだ真新しい内容かもしれませんが、アメリカではもう5年以上前から議論されてきた内容なのです。

今のアメリカはもっと進んでいるので、we have to catch up with them!!(私達は追いつかないといけない!!)

次回はKinetic Chain, X-factor, Fluidity, Extension, Leverage, Shaft Loadingのどれかについて書きます♪

たいき