腫瘍縮小効果を信じて、甲状腺良性結節に対してTSH抑制療法が現在も行われることがあります。しかし、2018年に日本内分泌外科学会から出された「甲状腺腫瘍診療ガイドライン」には、良性結節に対するTSH抑制療法は「行わないことを推奨する」となっています。思ったほどの効果がないこと、またあまりにもTSHを低く保ってしまうと副作用が出てしまうことが根拠になっています。

 

 TSH抑制療法を行っている患者さんを多く見ていますが、効果があったという方をほとんど見たことがありません。中には縮小したと喜ばれている方もいますが、何もしなくても縮小する場合もありますので、本当に効果があったのかは疑問です。そのため、この治療法は効果がないのではないかと思っていたので、私自身はTSH抑制療法を導入したことはありません。他の医師がある患者さんに導入し、その患者さんに対して私もそのまま治療を継続しているというパターンはありますが、最近では中止することを勧めるようになりました。

 

 先日も私のクリニックに、TSH抑制療法を導入された良性結節の患者さんが来院されました。その日のうちに中止するようにとお話ししました。

 

 いまだにTSH抑制療法を積極的に行う医師がいます。ただ単に金儲けなのか、TSH抑制療法の効果を信じているのかは分かりませんが。

 

 現在では、「良性結節に対するTSH抑制療法は推奨されない」となっていますのでご注意ください。

 甲状腺の良性結節に対する治療は、原則として手術しかありません。経皮的エタノール注入療法を行っている施設もありますが、そう多くはないと思います。ラジオ波を使った治療もありますが、実施されている施設は限られます(保険適用外です)。強力な集束超音波による治療も研究されていますが、まだ国内では行われていないと思います(たぶん)。

 

 良性であれば、結節が甲状腺にできていても、体に悪影響はありません(本当は良性かどうかは手術しないと分からないのですが、そのことは置いておきましょう)。したがって、どんなに大きくなっても、無症状であれば治療の必要はないということになります。しかし、大きくなると目立ってくるので、何とかして大きくならないようにする方法はないのかということになります。患者さんからも実際によく聞かれることです。

 

 TSH抑制療法というものがあります。TSHは甲状腺刺激ホルモンのことで、脳の下垂体から分泌され、文字通り甲状腺を刺激して、甲状腺からのホルモン分泌を促します。TSHは甲状腺腫瘍の増殖も促進させてしまうと言われていますので、TSHを低く保って腫瘍の増大を抑えようとするのがTSH抑制療法です。「甲状腺癌全摘後のTSH抑制療法」もご参照ください。TSHを低くするには、甲状腺ホルモン剤の内服を行います。そして甲状腺良性結節に対して、TSH抑制療法が行われることがあります。

 

 しかし・・・

 乳頭癌と診断された患者さんが、リンパ節転移のことを気にすることが多いようです。がんのリンパ節転移を気にするのは当たり前なのですが、乳頭癌の場合は他のがんとは少し異なります。以前の記事と重複しますが、改めて記事にしてみます。テーマ「リンパ節転移」で詳しく書かれていますので、ご覧になっていない方は参考にしてください。

 

 一般的には、がんがリンパ節に転移していると、ステージが上がって、生存率が低下していきます。その際にはリンパ節転移の広がりも考慮されます。つまり、転移の範囲が広ければ、それだけ生存率も低くなるということです。

 

 甲状腺乳頭癌の場合ですが、TNM分類によると、55歳未満の場合は遠隔転移がなければステージI、遠隔転移があればステージIIとなります。つまりリンパ節転移は考慮されません。55歳以上ではリンパ節転移はステージ決定に考慮されますが、生存率にはあまり影響がありません。ですからリンパ節転移を過剰の心配する必要はありません。

 

 ではリンパ節転移は全く気にする必要はないのかというと、そうではありません。

 

 甲状腺乳頭癌はとてもリンパ節転移を起こしやすい性質があります。術前には明らかなリンパ節腫大がなくても、手術で切除したリンパ節に転移が見つかることはよくあることです。この場合はあまり心配する必要はありません。

 

 一方で、術前から明らかにリンパ節転移が分かる場合があります。リンパ節がかなりたくさん腫大している、あるいは大きなリンパ節転移がある場合などは術後に再発の危険性が高くなり、注意が必要です。また、転移したリンパ節が周囲へ浸潤する(くっつく)性質がある場合も注意しなければなりません。浸潤する性質があるかどうかは、通常は術前には判断できず、手術してみないと分かりません。

 

 通常の手術では切除できないような高位にあるリンパ節転移、あるいは縦郭(胸部に入り込むような)リンパ節転移の場合は、少し大きな手術になったり、術後に追加治療が必要になったりする場合があります。しかし、これらのことは頻繁に起こるわけではありません。

 

 乳頭癌のリンパ節転移は、他のがんとは性質が異なることをよくご理解ください。

 本日から電子カルテを2台増設しました。受付や検査業務がよりスムーズに進むようにするためです。少しでも待ち時間を短縮できればと思います。

 

 しかし、朝からトラブル発生。

 

 電子カルテからオーダーした血液検査が、検査室のシステムに届かない。検査用のラベルが発行できないので、血液検査ができないという事態に。

 

 幸いすぐに復旧しました。電子カルテの増設作業に伴うトラブルでした。あらかじめテストしないといけませんね。