甲状腺にしこりができて検査してもらったところ、「良性だから心配いりません」と言われた方は多いのではないでしょうか。しかし、良性と診断するのって、実は結構難しいことなのです。

 

 甲状腺にできたしこりが超音波検査で良性と思われる場合、小さいものは経過観察、大きいものは細胞診が行われると思います。細胞診の結果が良性であれば経過観察ですが、大きく目立つ場合は手術をすることもあるでしょう。

 

 甲状腺結節(しこり)の診断に細胞診は大変重要ですが、確定診断は手術で切除した標本の病理診断によって行われます。手術をしなければ診断を確定することはできません。ですから厳密にいえば、細胞診での診断は「疑い」なのです。

 

 だからと言って、結節があったら診断のためにすべて手術するというわけにはいかないので、超音波検査で悪性が疑わしい、あまりにも大きい、細胞診で悪性の可能性が指摘されている、などの場合に手術をお勧めしています。

 

 このブログで何度も書いていますが、良性か悪性かの診断に最も重要な画像検査は、CTでもMRIでもなく、超音波検査です(いまだに結節の診断に、最初にMRIが行われていたりすることがあるようです)。では超音波検査でどうやって良性と診断しているのでしょうか。

 

 私の場合ですが、悪性腫瘍のパターンをたくさん頭に入れていて、それに合わない超音波所見のときに「良性」としています。「悪性以外」を「良性」とするわけです。「悪性以外」の超音波所見って、ものすごく多彩です。ですから超音波の教科書を作成するとき、「良性結節の超音波所見」という項目を書くのはすごく難しいはずです。

 

 超音波や細胞診で良性所見であったとしても、手術をしてみたら悪性であったということはときどき経験します。特に濾胞癌は、多くの場合は術前検査で良性と判断されています。

 

 「良性だから心配いりません」のほとんどは正しいのですが、まれに悪性である場合があるので、しっかりと経過観察していくことが重要だと思います。

新型コロナウイルス感染症予防のためでしょうか、最近ビニール手袋をして受診される方を見かけるようになりました。手袋をして外出したり、買い物をしたり、何となく安心感があるのでしょうが、ほとんど意味がない、それどころか感染拡大の原因になる可能性もあるので、やめたほうがいいと思います。

 

ウイルスが手に付着し、その手で顔(口や鼻)を触ってしまうことが感染の原因です。手からウイルスが吸収されるわけではありません。手袋をしていても素手でも同じです。手袋をしていると意識して顔を触らなくなるのでは、と思うかもしれませんが、受診された患者さんを見ていても、手袋をした手で頻繁に顔を触っていました。

 

手袋をしていると、付着した汚れに気づきにくくなります。汚れた手でいろいろなところを触るので、汚染が広がりやすくなります。素手であれば汚れに気づきやすいので、手を洗う機会も増えるでしょう。

 

手袋を外す時ですが、適切に外さないと汚れが手に付着してしまいます(これはマスクも同様です)。また、感染の危険性があるゴミが増えますので、この処理も面倒です。

 

手袋をするのはやめて、しっかり手を洗うことをお勧めします。ただし、洗いすぎると手が荒れて、逆にウイルスが付着しやすくなる可能性がありますのでご注意を。

 

 

先日、とある店の食品売り場のレジに並んでいました。前のお客さんとの間隔は十分に取っており、前の方が進んだので私も進んだところ、店員さんに床に提示してある線まで下がるように注意されました。マスクをして一言もしゃべらない私が少し近づいた(といっても2mくらい離れている)ところで、何が起きるというのでしょうか。まあ、そういう対応をするように上から言われているのだと思いますが、ちょっといやな思いをしました。

 

ちなみに、隣のレジに並んでいるお客さんと私の間隔は50㎝くらいだと思います。前後だけではなく、左右も気にしなければならないと思うのですが。

 薬の名前はどのようにして決められたのか、気になったことありませんか? 甲状腺関連の薬の由来を見てみます。

 

 

<抗甲状腺薬>

「メルカゾール®」は、薬の化学名である「1-methyl-2-mercaptoimidazole」から「MERCAZOLE」

 

「プロパジール®」は、一般名である「Propylthiouracil」から「PROPACIL」

「チウラジール®」も、一般名である「Propylthiouracil」から「THIURAGYL」

 

同じ成分の薬ですが、由来部位をちょっと変えているところがおもしろいですね。

 

 

<甲状腺ホルモン剤>

「チラーヂン®S」は、「Thyroid(甲状腺)」から「THYRADIN」で、「Synthesis(合成)」から「S」を付けています。

 

ちなみに

〇「チラーン」

×「チラーン」

ですのでお間違えのないように。

 

 

少しだけ他の薬も見てみます。

 

睡眠薬「マイスリー®」は、MY SLEEPから「Myslee」

 

ここまでの薬の名前の付け方は分かりやすいですね。

 

 

安定剤として飲んでいる方も多い「デパス®」は、(病的状態から)離れ「De」通り過ぎる「Pas」から「Depas」

 

抗生物質「クラビット®」は、「CRAVE(熱望する、切望する)IT」から「CRAVIT」で、待ち望まれた薬剤であることを表現したそうです。「それを待っていたんだよ」ということでしょうか。

 

薬品名の由来は、それぞれの薬の「インタビューフォーム」という薬の解説書に書かれています(ただし、書かれていない薬も多いようです)。

 

 

では最後に、

 

1回の治療に伴う薬品の価格が、約1億6700万円と決められたことで話題となった「ゾルゲンスマ®」(脊髄性筋萎縮症(SMA)の治療薬)ですが、

 

単回という意味の「sole」から「ZOL」、遺伝子の「Gene」から「GEN」、脊髄性筋萎縮症の 「SMA」を組み合わせて、 ZOLGENSMA (ゾルゲンスマ)

 

となったと書かれています。1回の投与で完了する遺伝子治療ということのようです。

 

それにしてもこの薬、調整しているときに誤ってこぼしてしまったらどうなるのでしょうか...

 甲状腺腫瘍の診断に重要な検査のひとつに、穿刺吸引細胞診があります。穿刺吸引細胞診は、細い針を腫瘍に刺して細胞を採取し、細胞の様子を顕微鏡で観察して、悪性の可能性があるかどうかを調べる検査です。

 

 ほとんどの甲状腺腫瘍は、超音波検査と穿刺吸引細胞診で診断できます。超音波と細胞診の診断結果が一致していれば、診断を間違えることはほぼないと言っていいでしょう。良性結節の代表である腺腫様甲状腺腫、悪性腫瘍で最も多い乳頭癌は、超音波検査と細胞診で診断可能です。髄様癌も細胞診で診断できます。髄様癌の場合、穿刺した細胞を生理食塩水に溶かし、その液体中のカルシトニン値を測定することも、診断の補助になります。

 

 腫瘍を診断する手段として、生検というものがあります。生検とは、腫瘍の一部を切り取って、顕微鏡で見て診断することです。細胞診との違いは、生検では腫瘍を塊として採取する点です。細胞診もある程度の塊が採取されますが、生検ではより大きな塊が採取されます。

 

 生検の方法にはいくつかありますが、甲状腺腫瘍に対して行われる場合は、二つの方法があります。一つ目は針生検です。太い針を刺して、針の中に入った組織を切り取ってくるやり方です。もう一つは切開生検です。皮膚を切開し、腫瘍を露出させて、直接腫瘍を切り取ってくるやり方です。いずれも麻酔をして行われます。

 

 甲状腺腫瘍に対しては、原則として生検を行うことはありません。細胞診でほぼ診断できてしまうので、患者さんへの負担がより大きな生検は不要です。ごく一部の腫瘍に限り、生検が行われます。では生検が行われるケースについて説明します。

 

 穿刺吸引細胞診で甲状腺リンパ腫が疑われた場合に、生検が行われます。なぜ生検を行うかというと、リンパ腫の種類によって治療方針が異なるためです。あらかじめ種類が分かっていれば、手術で切除してしまえばほとんど治ってしまう、あるいは放射線治療や抗がん剤による治療が必要、などが分かりますので、その後の治療方針が立てやすくなります。

 

 未分化癌が疑われる場合にも生検が行われます。多くは細胞診で診断可能ですが、甲状腺低分化癌や他臓器からの転移などとの区別が難しい場合があります。疾患によって治療方針が異なるので、診断を確実にするために生検が行われます。

 

 ところで、濾胞性腫瘍の診断ですが、良性か悪性かの判断に細胞診も生検も役に立ちません(濾胞性腫瘍だろうという診断はできますが)。細胞診で濾胞性腫瘍が疑われた場合、さらに生検を行っても、何か新しい情報が得られるわけではありませんので、生検は不要です。

 当院は本日でちょうど開院1年となりました。これからも町田市、相模原市を中心に、地域の患者さんのお役に立てるように頑張ります。

 

 本当は開院1年のお祝いをスタッフとやりたかったのですが、こんな状況ですからしばらく延期です。

 

 当院は感染防止に努めながら、通常通り診療を行っております。血液検査結果が出るのに1時間くらいかかります。その間、院内に滞在するのが心配な方は外出していただくか、後日結果説明に受診してください。

 

 新型コロナウイルスが心配で受診を控えている患者さんも多くいらっしゃいます。当院も電話による再診、処方箋の発行に対応していますので、ご希望の患者さんはご連絡ください。