甲状腺にしこりができて検査してもらったところ、「良性だから心配いりません」と言われた方は多いのではないでしょうか。しかし、良性と診断するのって、実は結構難しいことなのです。
甲状腺にできたしこりが超音波検査で良性と思われる場合、小さいものは経過観察、大きいものは細胞診が行われると思います。細胞診の結果が良性であれば経過観察ですが、大きく目立つ場合は手術をすることもあるでしょう。
甲状腺結節(しこり)の診断に細胞診は大変重要ですが、確定診断は手術で切除した標本の病理診断によって行われます。手術をしなければ診断を確定することはできません。ですから厳密にいえば、細胞診での診断は「疑い」なのです。
だからと言って、結節があったら診断のためにすべて手術するというわけにはいかないので、超音波検査で悪性が疑わしい、あまりにも大きい、細胞診で悪性の可能性が指摘されている、などの場合に手術をお勧めしています。
このブログで何度も書いていますが、良性か悪性かの診断に最も重要な画像検査は、CTでもMRIでもなく、超音波検査です(いまだに結節の診断に、最初にMRIが行われていたりすることがあるようです)。では超音波検査でどうやって良性と診断しているのでしょうか。
私の場合ですが、悪性腫瘍のパターンをたくさん頭に入れていて、それに合わない超音波所見のときに「良性」としています。「悪性以外」を「良性」とするわけです。「悪性以外」の超音波所見って、ものすごく多彩です。ですから超音波の教科書を作成するとき、「良性結節の超音波所見」という項目を書くのはすごく難しいはずです。
超音波や細胞診で良性所見であったとしても、手術をしてみたら悪性であったということはときどき経験します。特に濾胞癌は、多くの場合は術前検査で良性と判断されています。
「良性だから心配いりません」のほとんどは正しいのですが、まれに悪性である場合があるので、しっかりと経過観察していくことが重要だと思います。