学生時代に仲良くしていた友達は、大人になるにつれ色んな仕事に就いていた。
「親孝行をするにはお金が必要」
ごもっともな理由を掲げた彼女は地元でアルバイトをしていたり、都内でアルバイトをしていた。
とにかく私よりアグレッシブに動き回る人で、その行動力はすごいと思っていた。
そして高身長の美人さんである。
なぜ私と友達になったのか、友達になれたのかは不思議なところ。
そんな彼女と連絡を取らなくなっても、SNSで繋がっていたから近状は聞かずとも窺い知れた。
ヌードな撮影会やえっちなマッサージ屋さんなど露出の多い仕事をして要ることにも気付いたけれど、私が口を出せることではなかったし見てみぬふりをしていた。
一肌脱いで掴んだお客さんから頂いたお土産を両親にプレゼントしたら、美味しそうに食べたと聞いた時は、なんとも言えない気持ちになってしまった。
そしてある日、彼女はAV女優になっていた。
個人的に衝撃だった。
借金地獄の果てにあるのがAVや風俗のイメージが強くあるから尚の事信じられなかった。
そしてさらに驚いたのが、自らが望んで撮影に挑んでいたこと。
「そちら方面では有名な監督に撮ってくださるんです!」
「お相手の男優さんは気さくな方で……スタッフさんは優しい方で……」
文面上はとても楽しくお仕事をしている感じだった。
そのジャケットやサンプル動画を見て本当にAV女優になったのだと実感した。
今はお風呂屋さんで、宣伝用のブログには下着姿の彼女が誘い文句を添えて映っている。
私が知っている彼女の顔をしていて、私は見続けて良いのか考えてしまうこともあった。
もしかして私が繋がっていること、交流もないから忘れているのかも知れない。
見ている私が照れてしまって繋がりを解除したのだけど、翌日には彼女からも切られていた。
彼女を軽蔑したわけではもちろんない。
SNSでしか彼女の気持ちを知ることはできなかったから実際のところは分からないけれど、それでも彼女が望んで入った世界なら、そう言う働き方も受け入れる。
ただただ、身近でびっくりはしてしまったけれど。
正直に話してから解除をしたら良かったのだろうか。
彼女にとって私はもう友達ではないかも知れない。