ヴェーディックライフとは、自然の力を活用して、より少ない活動でより多くを達成する生き方です。ではより少ない活動でより多くを達成するためにはどうしたらよいのでしょうか。まず大切なことは、休息と活動のバランスをとることです。一生懸命働いているのに、なかなか達成が得られないとしたら、それは活動が多すぎて休息が足りないからでしょう。そこで今回は、深い休息をとることの大切さについて語ったマハリシの言葉や、ラージャ・コンハウス博士の講義をご紹介いたします。最初は、最近翻訳が完成したマハリシの講義「至高の知識の開花」から引用したマハリシの言葉です。

○●十分に休息をとることで願望を実現する
 
深い休息をとった後の活動は力強くなるので、望む結果を得ることができます。こうした深い休息の価値を知らなければ、人は苦しみ続けることになるでしょう。なぜなら休息をとらずに活動し続ければ、その人の活動はどんどん弱くなってしまうからです。弱い活動はなかなか達成されないので、人を疲れさせるだけです。目的を達成するために人々は一生懸命がんばりますが、何も達成されないまま、ただ活動し続けることになります。これが苦しみの原因です。十分に休息をとることで願望を実現できるのですが、人々は休息をとる方法を忘れてしまったのです。――マハリシ

もう一つ、無敵の日本コースの中で、ラージャ・コンハウス博士が「休息の価値」について話された講義の内容をご紹介します。

○●「もっともっと瞑想し、もっともっと働きなさい」

意識が成長すると共に、私たちは意識のより深いレベルから活動するようになり、自然の力を自在に扱えるようになります。マハリシはよくおっしゃっていました。「より少なく行動して、より多くを達成しなさい。最も少なく行動して、最も多くを達成するのです。そして最終的には何もせずして、すべてを達成しなさい」。母なる自然は、私たちがより静かな柔らかな領域で機能することを求めています。なぜなら、そのレベルはエネルギーが大変強力だからです。

ヴェーダ文献には、創造主ブラフマーがいかにして宇宙を作ったのかという話があります。彼は宇宙を創造したいと願い、働き始めました。しかし一生懸命がんばっても、何も起こりません。がんばればがんばるほど、うまくいきませんでした。そこにヴィシュヌ神が現れて、「あなたのやり方は間違っている。何かを創造するためには、まず超越しなければならない」と言いました。そしてブラフマーは瞑想を始め、超越のレベルに到達しました。その後で、彼はこの世界を容易に創造することができたのです。

「超越し、そこから行動しなさい」。それがマハリシが話されていた公式です。大切なことは、規則的に休むという習慣を身につけることです。ただ一生懸命働いているだけでは、なかなか成果が上がりません。休息というものが大変重要なのです。

マハリシはTM運動のリーダー達に「もっともっと瞑想しなさい、そしてもっともっと働きなさい」と言いました。私たちは、どうしたらそんなことができるのだろうかと思いました。1日に何時間も瞑想して、もっと仕事をするなんて不可能ではないかと思いました。しかし、マハリシはただ「そうしなさい」「そうしなさい」と言うだけでした。ですから、私たちは休息と活動のバランスを取る方法を学ばなければなりませんでした。そして私が発見したのは、より深い意識のレベルから活動すると、容易に達成が得られるということです。

休息と活動のバランスをとるためには、まず休息の方を優先します。最初に瞑想のスケジュールをたて、休息のスケジュールをたて、その周りに仕事のスケジュールをたてるのです。なぜなら仕事は無限にあるからです。私たちは常にもっともっと働くことができます。そこには終わりがありません。瞑想者はより創造的になるので、どんどん仕事を創造してしまうのです。ですから私たちは休息と活動のバランスを考えなければなりません。そしてまず最初に、休息から始めるべきです。――ラージャ・コンハウス博士
瞑想以外にも、私たちは夜の睡眠によって休息を得ています。自然と調和した生活、ヴェーディックライフでは夜の睡眠の価値も重要視しています。そのことについて解説したラージャ・コンハウス博士の言葉をご紹介しましょう。

大きな船の舵のように
瞑想者、シダーのグループが国家を変える

  
アーユルヴェーダの専門医、トリグナ博士は、二つのことさえ行えば、アーユルヴェーダの60~70%までカバーできると言っています。それは、夜10時に寝ることと、朝早く起きて10分散歩することです。

より啓発された人生を求めるならば、夜10時に眠ることがとても大切です。マハリシが次のような例えを使って話されたことがありました。

フランス行きの船がニューヨークの港を出発するとき、進行方向がわずか二度ずれただけで、ヨーロッパ大陸に着く頃には、フランスではなくスペインに着くことになってしまいます。寝る時間とはそのようなものです。もし夜十時を過ぎると、たとえ数分であっても、新鮮な目覚めは遠のいてしまうかも知れません。

私たちは、自分の人生をより良いものに変えたいのです。しかし、私たち自身も集合意識の一部ですから、自分を変えるとは、集合意識を変えていくことでもあります。ですから、そこには挑戦的な要素があるのです。

あなたが夜十時に寝ようとしても、周りの人たちが十二時に寝ていたら、それは難しいことでしょう。しかし、小さなグループであっても、瞑想者やシダーが十時に寝ることを始めれば、国全体がそれに従うようになります。

大きな船であっても、その船の方角を変える舵は小さなものです。シダーのグループはちょうど、集合意識の方向を変える舵のようなものです。小さなシダーのグループが、国全体の方向を変えることができるのです。したがって、皆さんが行うことは、皆さんにとって重要であると同時に、国全体にとっても重要です。それが私たちの責任です。

啓発を得るための知識とは、世界で最も貴重な知識です。ほんのわずかな人たちだけが、この知識を与えられてきました。マハリシを先生にもてた私たちは、大変幸運です。マハリシのような先生は、数千年に一人現れるような方です。そのような先生をもてたということは、まさに奇跡です。私たち全員が素晴らしい祝福を受けているのです。

ですから、私たちはぜひ千二百人のシダーのグループを作りたいのです。そうすることで、啓発というものが非常に容易に得られるでしょう。――ラージャ・コンハウス博士

私たちの行動は集合意識に影響を与え、日本全体の意識を進化の方向へと向けることができます。つまり、私たちがヴェーディックライフを生きることを通して、ヴェーディックライフを日本全体に広げることができるのです。毎日のプログラムと早寝早起きで休息を十分にとり、行動をより強力にすることで、より大きな達成を楽しんでいきましょう。
私たちは、瞑想によって自分の考えや行動をより正しいものに変えていくことができます。そしてそれによって、私たちの生きている世界を、よりよい方向へと変えていくことができるのです。

例えば、グループで瞑想することで、社会全体に調和的な傾向を生み出すことができます。また瞑想者が何かに注意を向けたり、行動を起こすことによっても、広く社会に影響を及ぼすことができるとラージャ・コンハウス博士は解説されていました。特にシダー(TMの上級実践者)が及ぼす影響について、ラージャ・コンハウス博士は次のように話されています。

「TMシディの実習では、最もエネルギーに満ちた力強い無限の静寂の場へと向かいます。そしてそのレベルにおいて、自分が発した個人的な考えは宇宙全体の海の中へと溶け込み、宇宙的な価値となります。自分の個別性から発した考えが、宇宙的なレベルに一気に広がるのです。そしてそれと同じ事が、私たちの人生全般においても起こります。

私たちが注意を向けたものは、強まります。なぜ強まるのかというと、注意を向けたものが、無限に拡大した宇宙的な価値へと変化するからです。TMシディを実習し、個別性から普遍性のレベルへと心を拡大する練習をしている人が、何かに注意を向けるとき、そこには利己的な意図がなくなります。そしてその影響は、普遍的なレベルで宇宙全体に広がっていくのです。例えば、あるシダーの経営者が違法行為を行っている業者との取引を止めようと決断したとします。そうしたシダーの決断は、その組織だけでなく、日本のビジネス界全体にそうした傾向を生み出すことになるのです。

私たちの生活においても同じ事が言えます。もし、私たちが暴力的な映画を見たりすると、その暴力的な影響が集合意識に広がっていきます。普遍的なレベルから働きかけるという技術を身につけたシダーの影響力は、非常に大きなものです。ですからシダーである私たちが、質のよい食べ物をとり、よい人々に囲まれ、よい環境のなかで暮らすことがとても大切です。それによって、そのよい影響を周囲に広げていくことができるからです。」

瞑想中に体験する純粋意識のレベルとは、宇宙のすべての多様性が一つに繋がっている普遍的な領域です。ですからその普遍的なレベルに慣れ親しんでいくと、その人の考えや行動は宇宙全体に影響を及ぼすようになるのです。

前回紹介したマン・インザ・ミラーの歌詞に関する文章の中で、次の言葉が心に残りました。

「政治でも、仕事でも、人間関係でも、相手や周りのせいにしていては、いつまでたっても何も変わらない。まずは自分が変わることだ。そこからすべてが始まる。そのことに気づいて行動する人が増えていけば、社会は、世界は変わるだろう。」

私たち瞑想者が、自分の人生をよりよい方向に変えるとき、その同じ傾向を社会全体に生み出すことになるのです。