治療的自我 | TMSジャパン公式ブログ

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アメリカのとある医科大学付属病院での出来事です。A医師が勤務していた泌尿器科病棟では、医師の態度や治療法について患者の不平不満が絶えませんでした。

ところがある日、消化器科病棟からやってきたB医師が担当になった途端、患者たちの不平不満は沈静化すると同時に鎮痛剤を要求する患者も減り、病棟内は平穏そのものとなりました。

一方、新たにA医師が担当することになった消化器科病棟では、またしても患者の不平不満やトラブルが増え、さらに潰瘍が悪化する患者まで出てきました。

この現象を観察していたモンタナ大学のジョン・G・ワトキンス心理学教授は、たとえ医学知識や経験、技術レベルが同じでも、治療者の人格が患者に大きな影響をおよぼすとして『治療的自我(therapeutic self)』という言葉を使いました。

こうして「どんな治療をするのかより誰が治療をするのか」という問題が明らかになったわけです。どうやら医療関係者は、『治療者という薬(doctor as a medicine)』の効果を最大限に引き出すために、生涯をかけて『治療的自我』を育まなければならないようです。

ちなみに、プラシーボ効果もノーシーボ効果も脳の同じ領域が関与していることが判明しています。患者さんには不安や恐怖ではなく、安心と勇気を与え続けましょう。

 

 

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