息子は4歳になっても、いくら言っても、どうしてもお漏らしがなおらなかった。


でも、妹の出産に立ち会った日から一度もお漏らしをしていない。


妹に恥ずかしいところは見せられないと言う。


「僕が着替えさせてあげる。」


「僕がミルク飲ませてあげる。」


「僕が抱っこしてあげる。」


「僕がオムツ替えてあげる。」


今のところ、こちらが驚くほど「お兄ちゃん」になったことを受け入れ、喜んでいる。



これから赤ちゃんがえりするかもしれないし、どうなるかわからないが、


息子にとって立会いは良かったようだ。




必死な姿で、普段は出さないような声を上げる母親を見ても、


怖がることもなく、


「大丈夫やからね。」


「頑張ってね。もう少しやからね。」


と母親の身体をさすりながら驚くほど的確なことを言う。


血がついたまま産声を上げる妹を怖がることもなく、


嬉しそうに微笑んで、


僕の方を見て、


「よかったね。」


と、また的確なことを言う。




僕がへその緒を切るところもじっと見ていたようだ。


それで昨日、娘のへその緒が取れたことを報告してくれた。


「今日ね、ママと赤ちゃんとおへそで繋いでたやつ、


パパが切ったやつ、赤ちゃんからとれたよ。」


息子はこちらが思ってるよりも冷静に周りをよく見ている。




あまり息子に「お兄ちゃんだから」と言わないようにしようと思っていたが、


こちらが言うまでもなく息子はちゃんと自覚している


でもまだ4歳。



妹誕生の2日前に息子と約束しておいた。



「妹生まれてくるの楽しみやな。
一緒にかわいがってあげような。」


息子はうれしそうに
「うん。一緒にメンドー見てあげようね。」


僕は続ける
「妹が生まれてきたら、
パパも妹のことかわいがるし、
皆も妹のことかわいがるけど、
今パパが[息子]のことをかわいいと思ってる気持ちは、
妹が生まれてもずっと変わらないから。
ずっとパパは[息子]のことかわいいと思ってるからな。」


息子はいっちょまえに照れた顔して、
それから、
いっちょまえに照れ隠しに顔を床に押し付けながら、
「うん。僕も~」
と謎な返事だったが、
きっと伝わっているだろう。

16日、妻と娘が退院。


娘にミルクをあげたり、


オムツ替えたりしているうちに、


ようやく僕にも実感が湧いてくる。



夜明けに目覚め、


眠っている妻と2人の子供を見ると、


川の字ではなく、


なぜか頭を寄せ合って、


おばけのQ太郎の3本の髪の毛みたいな陣形を組んでいて、


ひとりで笑いを噛みころしながら、


家族とか幸せとか愛情とかが、


新しいカタチになったことを感じた。



娘の存在はこれから僕や妻や息子にどんな影響を与えていくのだろう。




1人目のときもそうだったが、


出産前後の妻は圧巻だった。



39週間。


前半は体重が数キロ減るほどに、


そして臨月まで続いた悪阻(つわり)。


後半は静脈瘤や腰痛も加わる。


それでも毎日、


息子の幼稚園のお弁当作り、バス停まで朝夕送り迎え。


息子に晩ご飯を作り、食べさせてから、20:00~の授業のために出勤。


日付が変わる頃に帰宅。土曜日も出勤。


破水前日1月10日まで出勤。


12日午前3時9分に出産。


そして一昨日、16日退院したその日から授業のため出勤。



3連休と重なったこともあって、産休実質3日間。



本来、臨月は働くべきではないかもしれないし、


産後は細心の注意を払って動く必要がある。


必ずしも早く職場復帰することがいいということはないかもしれない。


ただそれでも、僕が同じ立場なら妻のようにはできないと思うから、


素直に妻は尊敬すべき女性だと思う。


そして僕を、2人の子供の父親にしてくれたことに心から感謝したい。



娘を得た妻は、さらに強く美しくなっていくだろう。


2014年1月12日午前3時9分、


女の子が無事誕生しました。



「お兄ちゃん」になる息子と立ち会いました。



10日まで働いていた妻。


11日午後3時頃に破水がはじまる。


12日午前1時過ぎ、陣痛がはじまる。


僕が駆けつけたら、もう分娩室。


深夜だけどずっと待機していた息子と両親を呼び出す。



2時間、息子とともに妻の陣痛を少しでも逃すため、


テニスボールで押したり、


腰をさすり続けた。


声もかけ続けた。



そして


3時前、子宮口全開。


出産の体勢をとり、


助産師さんに促され、


必死で長く息を吐く妻。


胸の前で僕の右手を握っている。


僕の左手は息子が握っている。




まもなく、頭が出てくる。




もう2度、3度、激痛に耐えながら長く息を吐く妻。




肩が通る。





誕生。





瞬間、妻の歓喜と安堵の声。





そして、優しくも力強い産声。





娘の泣き顔と


妻の笑顔と


息子の笑顔。



一生忘れない空間。




まだ実感はなかったけれど、


その空間を満たす感動が、


これから時間をかけて、


自分の中に吸収されていくような感覚があった。





妻の妊娠中から出産まで、


産婦人科の先生方はもちろん、


家族・親戚、友人、TMゼミの講師の皆、卒業生、塾生、保護者の方々、


その他にも本当に多くの人たちの理解と協力、励ましに支えていただきました。



心から感謝いたします。