びわ 262
こんなことがあった。
三歳か四歳の頃だと思う。
おじいさんに連れられて江川の遊園地へ行った。
江川の遊園地というのは、ぼくが住んでいるところ
から、吉野川を隔てた東南の方向にある遊園地で、
春の桜が有名で、茣蓙を敷いて、お酒を飲んだり弁
当を食べて賑わうのである。
春先なので、少々寒いので、白いカーディガンを
母親から着せられて行った。
交通手段は自転車であった。
白いカーディガンを着て、おじいさんと行ったことは
はっきり脳裏に残っているが、遊園地で何をしたかは
定かでない。三島由紀夫でないから致し方ない。
しかし、もうひとつリアルナ記憶がある。
それは帰宅した折、ぼくが白いカーディガンを着て
いなかったことだ。あの白いカーディガンはどうなった
のだろうか。