門松 62
わが職にまさる職なし染めはじめ 岡和田 天河水
先ほど、豚汁を食しまして、ほどよい満足感に浸っております。
なにも高級料亭やおすし屋を利用しなくても、庶民の家庭料理
でも、おいしくいただけるものは沢山有ります。たしかにプロの
お店は、さすがにとうならせるワザを持ち合わせています。そう
でないとわざわざ遠路を、高いお鳥目を払ってまで食べには来
てくれませんが、かと言って毎日かくなるお店を使うわけには
いけません。
伝聞で訊いた話ですが、かのちの、大金持ちの子息が、わが
国の大学で勉学の為、来日したのですが、その生活たるや、日
本の学生よりも、はるかに質素なものだったそうです。大金持ち
の親達は、贅沢がまだ学生の息子にとって有害であることを知
っていたからである。
ぼくは、決してお金持ちではありません。でも欲しいものがあ
るときは、躊躇せずに買います。だが最近、欲しいものがなくな
ってしまいました。欲しいものがなくなると、お金もさほど要りま
せんし、思わぬお金が手に入っても、嬉しいといった気持ちは、
ないと言ったら嘘になるのでしょうが、子供の頃にお年玉をもら
った時のほうが、よほど嬉しかったです。それほどお金が必要
でないのならください、と言う方が必ずいますが、そんな虫のい
いことを言う人に、差し上げるお金はありません。