門松 20
すずろいでて松笠拾う七日かな 渡邊 水巴
ぼくにとって音楽は、とても大事なもので、音楽なしに生きてい
くことは不可能です。子供の頃に聴いていたのは、歌謡曲でした
が、そのほとんどが美空ひばりだった。作家の故吉行淳之介の
奥さん、名前をど忘れしていまったが、彼女の歌うガード下の靴
磨きを聴いて、涙を流したことを覚えている。
小学生、四年生のころから洋楽を好むようになった。エルビス・
プレスリー、ポール・アンカ・コニー・フランシス、リトル・ペギーマ
ーチなどである。
そして、中学三年生のとき事件があった。中学校は給食ではな
く、遠くの人は弁当、近くの人は家にお昼を食べに帰るのだった。
ぼくは、お昼を家で食べていた。その日も食事を終わり、しばらく
テレビを観てから学校に行くつもりだった。テレビはNHKで、国際
ニュースという番組だった。イギリスのニュースで、今イギリスでビ
ートルズと言うバンドが大人気だ、というものだった。画面には、長
髪の四人の男子がギターを弾きながら歌い、そのまわりを、ぼくと
同年代の女の子や男の子が、きゃ~きゃ~云いながら、忘我の表
情を浮かべているではないか。まるで何かに憑かれてるのではな
いかと思わせる異様な光景だった。
これは、一体なんだと思った。