西瓜と夏みかん 505
真夏に食べるカレーほど美味いものはない。
汗をかきかき、家族全員でわいわいがやがや、
多少のお行儀の悪いのもいたしかたがない。
早く食べなきゃおかわりが食べれなくなる。辛
さで口内は火事である。消そうとコップの水をの
んだが、火は消えぬまま依然として火事は続い
ている。ええいままよ!火事のままカレーを口に
投擲する。ついでにラッキョも放り込む。酸味が
歯にしみる。かりかりと脳に響く。我が家ではカレ
ーの添え物は福神漬けにあらず。なんとラッキョ
なのである。いくからかは憶えていない、おそらく
は、おかあさんがつくったルールなのであろう。味
覚というのは保守的なもので、いちど憶えたあじは
終生変わらぬ。いかに奇妙奇天烈な味覚でも幼児
のころから食べさせられると、どんな変な味でもウ
エルカムになるようだ。その例示として、われらは
梅干、納豆、糠漬け、くさやなどを食するではない
か。異文化の人たちは顔をしかめるに違いない。