鞠と猫 417
パソコンの音量を増やすことを教えてもらったので、
やっとジャズらしい音が聴こえるようになったのは、嬉
しい限りである。以前のように蚊のなくような音量では、
ジャズの醍醐味は体験できはしない。
随分以前になるが、ぼくがオーデオ機器に請った折、
足しげく市内のオーデオ・ショップ通ったが、そのときに
視聴した、ディヴ・ブルーベック・カルテッのテイク・ファイ
ブが奏でたドラムの迫力たるや雷のごとし。腹にずしずし
と響き渡り、かくなるものがオーデオかと感慨を新たにし
た。しかしながら、購入して判明したのであるが、どうやら
紙と木でできた日本家屋では、鉄筋コンクリート造りのオ
ーデオ・ショップの音の再現は困難らしく、しかも住宅が連
なる只中で、さながら右翼の街宣車ごとき、大音量でジャ
ズを鳴らすのは、どうやら周辺の顰蹙をかいそうなので、
少々音量は絞らざるを得なかった。
今は、もうレコードたるや場所を取る嫌われ者だが、ぼく
にとっては聴かずとも、自らの分身のようで放擲できずに
いる。言わば青春の蹉跌なのだろうか。