_ 春と修羅 316
昨日はなんともはなはだ暑かった。しかも、暑いだけ
でお客さんは全く皆無だったんだ。最悪と言わざるを得
ないが、実はこんな日が圧倒的に多いのだ。毎週新聞
で宣伝するがかくのごとし。商売は甘いものではない。
今日も昨日に続き暑い日になりそうである。やれや
れという感じだが、本格的に暑くなるのはこれからだ。営
業は暑いのより寒いほうが楽である。寒いのは、多く着
込んだり、ストーブで何とか凌げるが、暑いのばかりはク
ーラーがあるわけではなし、団扇というアナログ的手段で
は、はなはだ心もとない。ただ耐えるのみである。しかし、
耐えるというのも、ある種自虐的で、ある一線を越えると
エクスタシーにも相似した感覚に包まれる。いわばマラソ
ンで走る人が、苦しみの果てに恍惚に似た状態になるに
似ているのかもしれない。苦しみの果てに恍惚があるな
んてなんと宗教的感覚だろうか。如何。