四字と熟語 141
どなたでも身に覚えがあるやに考察するのであるが、
世界に燦然と光り輝く古典として評価を受けながら、幾度
トライしても、太刀打ちかなわぬ幾多の本がある。いちい
ちここで書くのもシャクだから、一冊のみ書名をあげると、
それはトルストイの戦争と平和である。
ぼくはアンナ・カレーナや復活はすらすらと読めた。し
かるに、この戦争と平和が鬼門なのである。何度挑戦し
ても跳ね返される。
まず、途上人物の姓名が覚えきれない。途中で誰が
しゃべっているのやらわからなくなって、読書を放棄して
しまう。
こういうことはロシヤ文学に限らず、外国文学を読む
場合よくある話なのであるが、戦争と平和はその特徴が
ことのほか顕著だ。何百人の名前なんかを覚えながら読
むと、ストーリーのほうを忘却する。何処をさまよっている
のやら、わけがわからなくなって読書を頓挫してしまうこと
になってしまうのだ。
別に読んだからどうなることもないが、読めなかった本
を残しながら冥土にいくのかと思えば、慙愧の念に耐えな
い。無念をこの世にのこして旅立つのは、心残りである。