たまちゃん 18
ある本によりますと、ぼく自身の正体たるや、な
んと自我というものらしいのです。これは本能などと
いう確固としたものではなく、なにやらあやふやな代
物他者とあるいは社会との関係で形成される得体の
しれないあいまいな存在で、ときに崩壊することもあ
る厄介なモノらしいのです。
例えば宗教というものがあります。これは自我と
深いかかわりを持っています。自我は安定を求めま
す。それがないと、自我自身が根拠がないので揺ら
ぐのです。両親が誰か。先祖はだれか。果ては人間
はどうして生まれたのか。死とはなにか。死後はどう
なるのか、などと自我は次々に答えをもとめます。そ
うしないと自我は安定をしないからです。そういった
自我に答えをあたえるのが宗教でした。宗教に総て
の答えがあるから人間は命を懸けて宗教を信じ、守
ったのですが、ここに思わぬ邪魔者が現れました。
それが科学です。それまで総ての事が宗教で説明が
着いたことが、科学の出現によって宗教の存在感が
無くなってしまいました。しかも、ニーチェによってキリ
スト教の神は殺されてしまいました。すぁー一大事、
自我が不安定になりました。これが現代のぼくらの苦
しみなのです。自我が安定しないと不安になります。
不安が高じるとメランコリーになり、憂鬱になります。
これが現代のわれわれの精神状態です。